NPS®とは、商品やサービスを顧客が評価でするための数値です。
NPS®では顧客満足度といった数値と異なり、顧客の「ロイヤリティ」の計測を行います。このNPS®の数値を検討することで、事業やサービスの収益性を予測することが可能です。
本記事では、NPS®の概要や、NPS®が高い企業の事例、NPS®を向上させるためのポイントを紹介します。
NPS®とは?
この項目では、NPS®の概要や、顧客満足度との違い、NPS®のスコア計算方法といったNPS®の概要を紹介します。商品やサービスを顧客が数字で評価
NPS®とは「ネット・プロモーター・スコア(Net Promoter Score)」の略称です。
コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」に勤め、アメリカの情報誌「コンサルティングマガジン」などで最も影響力のあるコンサルタントとして選ばれたフレッド・ライクヘルドが提唱した数値として知られています。
NPS®では顧客のロイヤリティを計測し、企業が提供できる顧客体験の評価や改善に活用されています。
顧客満足度との違い「ロイヤルティ」で収益性を予測
NPS®と類似する数値として、「顧客満足度」が取り上げられることがあります。
顧客満足度は顧客がサービスや商品に対してどのくらい満足しているかを示す数値である一方、NPS®は顧客の満足度ではなく、顧客のロイヤリティと業績の相関性に注視した指標です。
顧客満足度が高い数値だった場合も、必ずしもリピート購入や顧客単価の向上といった形で事業の業績に反映されることはありません。
一方、NPS®では顧客に「この商品をどのくらい知人に進めたいですか?」といった質問で顧客のロイヤリティを計測することで、事業の今後の収益性を想定しやすくなると考えられています。
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NPS®のスコア計算方法
NPS®では、調査の回答に応じて顧客を11段階で評価します。
評価が0〜6点の場合は「批判者」、評価が7〜8点の場合は「中立者」、評価が9〜10点の場合は「推薦者」という3つの段階に分類します。
顧客の段階が分類されたら、NPS®の値を計算します。NPS®の値はこの推薦者の割合から批判者を引くことで求める仕組みです。
なお、中立者の割合はNPS®の値を求めるのに使用されません。
メリット・デメリット
NPS®のメリットは、「導入の難易度はさほど高くない」「業界での自社の評価を把握できる」「事業の方針の参考になる」といった3つが挙げられます。
顧客満足度と異なり、NPS®の点数は顧客がサービスや商品をどれだけ他者にすすめたいか、今後も利用したいと思っているかといった観点から出されるため、一般的な調査とさほど変わった点はないと言えます。そのため、導入しやすく事業の参考になるという点が大きなメリットです。
一方、NPS®のデメリットは、日本におけるNPS®の特徴として評価がマイナスに振れやすいという点が挙げられています。
NPS®の高い企業の例
NPS®が高い企業では、どのような取り組みを行なっているのでしょうか。この項目では、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が実施した「NPS®ベンチマーク調査」をもとに、NPS®が高い企業を紹介します。
楽天でんき
2021年の「NPS®ベンチマーク調査」によると、楽天が提供する電力会社「楽天でんき」は同調査の対象となった電力会社9社のうち、-24.5ポイントでNPS®ベンチマーク1位を獲得しました。
ロイヤリティの原因を調査した結果によると、「企業の信頼性」「サービスの安定性」といった項目のほか、料金とサービスの適切さや分かりやすさがが高い評価につながった要因だと指摘されています。
FANCL(ファンケル)
2019年の「NPS®ベンチマーク調査」が対象とした化粧品会社8社のうち、最も高いNPS®の値を獲得したのはFANCL(ファンケル)でした。
FANCLは基礎化粧品やサプリメントなどを展開する化粧品会社で、特に「店舗のポイントの貯めやすさや使いやすさ」といった料金に関わる項目や、「品質のよさ」、「使い心地のよさ」などの提供商品に関する項目で高い評価を獲得しました。
調査によると、化粧品を提供する企業では「費用対効果」や「セールなどの特別割引」などが重要度が高いにも関わらず、顧客の満足度が伸びない傾向があるとされており、FANCLではこうした点をカバーした事業展開がされていることが伺えます。
ZOZOTOWN
EC事業を展開するZOZOTOWN(ゾゾタウン)は、2020年の同調査でアパレルECサイトの1位を獲得しました。
ZOZOTOWNは特にウェブサイトや公式アプリといったウェブサービスの利便性で高い評価が得られています。
また、同調査ではアパレルEC業界全体の傾向として、公式アプリの利用者は顧客体験の評価が高くつきやすくNPS®として反映されやすい一方、送料の適切さについては改善がめられている項目だと指摘されています。
NPS®の点数を上げるには?
この項目では、NPS®の点数を上げるための方法を紹介します。経営層まで巻き込んで施策を展開する
NPS®の点数を上げるには、経営層まで巻き込んだ施策が重要です。
NPS®は収益と密接に関連する項目なので、経営層の協力を得ることで評価の内容を事業戦略に活かしやすくなります。
良い評価や悪い評価も含めユーザーの評価を経営陣に掲示することも、調査に興味を持ってもらう有効な方法です。
ネガティブなコメントを拾って改善する
NPS®の結果をもとに、サービスや商品の何が問題なのかを分析することも数値改善において重要です。
NPS®の調査を行うと、ポジティブなコメントにもネガティブなコメントにも触れる機会があります。
NPS®のコメントで言及されている内容を題目や評価の傾向別に分類し、特にネガティブなコメントの内容を改善することでNPS®の向上に期待できます。
短期間でPDCAを繰り返す
また、NPS®を短期間で向上させる方法に、特定のユーザーに焦点を当てた改善策を実行していくという手法があります。
NPS®はユーザーを「中立者」「批判者」「推薦者」に分類しますが、中立者を推薦者にするには時間がかかります。
一方、批判者を推薦者に移行する際は、指摘された不満な点を改善することで短期間のうちに成果が出るとされているためです。
収益と密接に関連するNPS®の数値を把握する
アメリカのコンサルタント、フレッド・ライクヘルドが提唱したNPS®の数値は、顧客の満足度だけを図るのではなく、事業の収益性を検討したり今後の戦略を検討するために利用されます。
NPS®は収益と密接に関連する数値のため、NPS®の数値はもちろん、調査に寄せられたコメントなども把握しておくことで事業を円滑に進めるためのヒントが得られるはずです。
NPS®はどの業界においても重視されている数値のため、施策を実施することで思わぬ発見があるかもしれません。
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<参考>
NTTコムオンライン:NPS®(ネットプロモータースコア)とは?
NTTコムオンライン:NPS®ベンチマーク調査 2021【電力(関東・関西)】
NTTコムオンライン:NPS®ベンチマーク調査 2019【通販化粧品】
NTTコムオンライン:NPS®ベンチマーク調査 2020【アパレルECサイト】