消費者が商品を購入するまでには、商品に関する情報を収集したり購入するかどうかについて判断したりとあらゆる段階を踏みます。そこで、提唱されたのが購買行動モデルです。
消費者の購買行動については、インターネットの普及により形を変えており、それに伴い購買行動モデルも変化してきています。
マーケティングにおいて消費者の購買行動を知ることは必要不可欠ともいえます。
本記事では、近年提唱されるようになってきたDECAXについてその概要や具体的な流れに触れながら、これまでに提唱されてきたモデルについて解説します。
関連記事
AIDMA(アイドマ)とは?他のモデルとの違い・実践例を解説
AISASモデルとは?消費者の購買活動を喚起するネット広告の認知プロセス
DECAXとは?5つの購買行動プロセスを含むモデル
DECAX(デキャックス)は、Discovery、Engage、Check、Action、Experienceの頭文字であり、購買における購買行動を5つのプロセスに区分し説明したものです。
DECAXは、SNSが消費者の生活と密接に関係すればするほど、より重要度を増していきます。
実際の店舗に行く時間が少なかったり、また現在では新型コロナウイルスの流行が起きていたりなど、消費者がSNSやインターネットコンテンツを通じて購買にかかわる情報を取得する機会は増えていくと考えられるでしょう。
1. Discovery(発見)
第一に情報は、消費者に「発見」されなければなりません。
インターネットやスマートフォンの普及により、消費者は多くの情報を手軽に入手できるようになりました。消費者にとっては、あふれる情報の中から有益な情報を発見していかなければなりません。
企業は消費者に発見されるような情報を発信することが求められます。メディアの特性を把握し、目を引くようなコンテンツを展開する必要があります。
消費者にとってメリットがある情報や、感情的に充足させるような映像や音楽とあわせて情報を発信することは、消費者に見つけてもらうためにできる工夫の一例です。
2. Engage(関係構築)
情報を発見してもらった後は消費者との「関係構築」が必要です。
消費者は企業の情報を発見し有益だと感じたら、コンテンツに「いいね」をつけたり、シェアしたり、Webサイトを訪れたり、メールマガジンを登録したりと、その関係性は徐々に濃くなっていきます。
双方向的な関係性を構築していく中で、企業は消費者の信頼を得られ、結果的に自社の商品やサービスに着目してもらえるようになります。
3. Check(確認)
消費者と企業の関係構築ののち、商品に興味をもった消費者は本当に購入する価値があるのかどうかを「確認」します。
確認のプロセスでは、SNSや公式サイト、ニュースといったさまざまな媒体を通じて消費者が受け取る企業のメッセージが参考にされます。
たとえば商品やサービスの購入への誘導を優先する姿勢が見えてしまうと、消費者のための商品と感じられず、結果として商品は購入されません。
確認の段階で、社会的責任をまっとうしていない企業であると消費者が判断する場合もあります。消費者は多くの場合、購入を断念するでしょう。
消費者に信頼される存在であることが、DECAXのモデルで消費される商品を販売する企業にとっては有利にはたらきます。
4. Action(行動)
消費者は、確認した商品やサービスの情報が有益であると判断できたら、結果として商品やサービスを購入するという「行動」に出ます。
DECAXにおける行動には対価を支払う消費だけでなく、無料のダウンロードなども含まれます。
5. Experience(体験・共有)
商品やサービスが購入されたのち、消費者はそれらを実際に「体験」します。
体験された商品やサービスについての情報は、体験した消費者によってSNSや口コミサイトに「共有」され、さらに二次的に多くの人に情報が拡散されます。
企業が発信する情報でDECAXが循環するケースもありますが、このように消費者が発信した情報によってDECAXが循環するケースも珍しくありません。
DECAXの特徴
DECAXは、コンテンツマーケティング時代におけるSNS活用を視野に入れた購買行動モデルを指します。
ここではメリット、どのような経緯で注目されるようになったのかについて解説します。
消費者による商品体験の発信
DECAXが他の購買行動モデルと異なる点は、双方向の関係構築をその過程に含めているところです、
企業が発信した情報に対して、商品やサービスの購入の見込みがある消費者から反応があれば、企業はその反応を参考に商品やサービスを改善できます。
コンテンツに寄せられたコメントや、企業や商品に対する口コミに返信をするといったコミュニケーションは、消費者との距離を縮めます。
こうしたやりとりは消費者の愛着を強めるだけでなく、市場調査としての役割を果たし、その後の商品開発に役立てることができるというメリットもあります。
DECAXが注目されるようになった背景
検索エンジンやSNSが日常的に利用されています。物理的な制約や、無料コンテンツが拡大し、あらゆる商品についてさまざまな情報が存在しています。
消費者は多くの情報を収集できるようになった一方で、企業にとっては多くの情報の中で自社の情報を消費者に届けなければならない状況です。
実際に現在は多くの情報の中で自社の情報を届けるために企業がしのぎを削っている状態で、各企業があらゆる工夫を凝らして消費者にアプローチしています。
そこで着目されているのがコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングの拡大に伴い、それに対応する購買行動モデルであるDECAXが提唱されました。
DECAX以前の購買行動モデル
DECAXが注目されるようになる前にも、消費者の購買行動に合わせてあらゆる行動モデルが提唱されていました。中にはDECAXの基礎になっているものもあります。
AIDMA、AISAS、AISCEASの購買行動モデルについて紹介します。
AIDMA:マスメディアが軸、基本的な購買行動モデル
AIDMA(アイドマ)は、Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を取った、購買行動モデルの中でも基本とされているモデルです。
AIDMAでは消費者の購買行動を5つのステップに分類しています。消費者が商品について知る「認知段階」、商品を欲しいと感じる「感情段階」、実際に購入する「行動段階」です。
今日のように、さまざまな媒体から情報を得ることが難しかった1920年代から提唱されていたモデルであり、古い購買モデルだという意見もあります。
実際、ECサイトを日常的に使う人も多い今、AIDMAが区分する段階はどれも、インターネット上で起こることは珍しくありません。
AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)、SIPS(シップス)との違い・実践例を解説
AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品を購入するまでの過程を説明するモデルの1種です。他にもAISASやSIPSといった類似の用語が存在し、マーケティング業界において用いられています。今回はAIDMA、AISAS、SIPSの意味や特徴を解説するとともに、AIDMAに沿った効果的な販促の方法についても解説します。目次AIDMAとは?AIDMA(アイドマ)とはAIDMA以外の有名な購入モデル①AISASAIDMA以外の有名な購入モデル②SIPSAIDMAはなぜ「古い」?SNSの普及による「シ...
AISAS:インターネットサービスが影響する購買行動モデル
インターネットにより新たにAISAS(アイサス)という購買モデルが提唱されるようになりました。
Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の頭文字をとった言葉です。
AISASでは、インターネットサービス普及以前にはなかった「検索」と「共有」という2つの要素が登場しています。
AISASモデルとは
大手広告代理店の電通が2004年に発表した「AISAS理論」は、ECサイトなどを含めたインターネット市場全般における購買行動を示すマーケティングモデルとして広く知られています。AISAS(アイサス)は「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Search(検索)」「Action(購入)」「Share(共有や拡散)」の頭文字をとったものです。2015年にはAISASのうち、とりわけ「Attention(注意が呼び起こされる)」の部分のプロセスを細分化した「DUAL AISA...
AISCEAS:口コミなどでの比較検討
AISASにさらに口コミなどの比較検討の要素が盛り込まれた購買行動モデルがAISCEAS(アイシーズ)です。
インターネットが普及しSNSや口コミサイトが多くの人に利用されるようになったことで、事前に口コミを確認することが当たり前になり新しくAISCEASというモデルが提唱されるようになりました。
AISASを細分化したものであり、AISASにSearch(検索)とAction(行動)の間にComparison(比較)、Examination(検討)が含まれます。
DECAXを前提としたマーケティングのポイント
たとえば、ある飲料について販売することを考えます。商品である飲料は、最初に消費者に商品を見つけてもらわなければなりません。
店頭に置いてある商品を見つけて手に取ってもらうケースも考えられますが、ここでは販売場所以外でどのように認知を獲得するかを考えます。
SNSでは、季節の行事に合わせた消費の提案をしたり、商品開発や販売の裏側といった特別な情報で関心を高めてもらうことをねらったり、その飲料をアレンジした美味しい飲み方のコンテンツを発信したりというやり方が考えられます。
消費者は情報を発見し、肯定的にとらえたSNSコンテンツに関してはシェアをしたり、スタンプでリアクションをとったりします。
この「Engage(関係構築)」の過程を加速させるような内容をいかに生み出せるかが、DECAXのモデルを機能させるためには一つのポイントとなります。家族や友人に教えたいと感じられるコンテンツを公開できれば、情報は消費者により拡散してもらえます。
関係構築の次は、商品の購入についての「確認」段階です。購入するべき商品だと確認できたら商品を購入します。
消費者は商品購入後、人に伝えたかったり自分の発信を見てほしいという動機から、SNSや口コミサイトに感想を投稿します。
消費者の口コミがコンテンツの一つになることはもちろんですが、企業でも有益なコンテンツを展開することで、購買行動の循環が強化されることも期待できます。
また商品の種類によっては、商品の存在を発見してもらうきっかけとして、SEOに取り組み検索エンジンで上位に表示されるようにすることも、消費者が購買に至るまでの有効な手段となります。
顧客体験の重要性を示す購買行動モデルDECAX
インターネットやSNSが普及する中で消費者の購買行動モデルにも変化が生じています。従来はAIDMAやAISAS、AISCEASなどの購買モデルが時代の流れとともに提唱されてきました。
DECAXがこれまでの購買行動モデルと大きく異なるのは、「どのようにして発見してもらうか(発見)」「双方向の働きかけの効果(関係)」「企業や商品に対する評価づけ(確認)」に着目している点です。
最新の消費者の生活様式に即した購買行動モデルは、自社の商品や売れている商品がどのような消費者の心理や行動により購買されているのか、あるいはされていないのかを理解する手助けになるでしょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】