コロナ禍はイベントや結婚式が見送りになるなど特別な日が減り、ネイルサロンの利用機会も減少傾向でしたが、今後は消費意欲が解放され「自分へのご褒美」需要が増える見込みです。外出機会が増加すれば、身だしなみへのこだわりも復活するでしょう。
一方で、ネイル市場は成熟期に入り価格競争が激化しています。各ネイルサロンが集客強化に目を向けている中、顧客がサロン選びで重視しているポイントを捉え、自社サロンの魅力や他店と比べた強みを発信することが重要です。
新規顧客とリピート客それぞれに刺さる施策や、今後の市場動向を解説します。
顧客が通いたくなるサロンとは
ネイルサロンに求められているのは、高い技術力だけではありません。サロン側の想いだけで試行錯誤しても顧客獲得につながらない可能性があるため、顧客が評価するポイントを理解し、的を射た集客対策を実行することが重要です。
サロン数が増える昨今、価格値下げで集客を狙いがちですが、サロンならではの魅力をアピールして差別化することで、一過性ではなく継続的な集客が図れます。
サロン選びで顧客が重視するポイント
顧客が同じサロンに通い続けたい理由のトップは「ネイリストとの相性」です。次いで、施術のクオリティ、ネイルの持続性など技術力の評価が挙げられています。
支持されるネイリストはプロ意識と顧客視点を兼ねそろえているため施術の満足度が高く、結果的に店舗の評判や人気にも貢献しています。顧客との強い信頼関係を構築できれば、店舗に愛着を持ってもらいやすくなり、リピート率が高くなります。
価格勝負ではファン顧客が増えない
数あるネイルサロンの中で勝ち抜くために価格を下げた場合、一時的には集客できるかもしれません。
しかし、お得感目当てで来店する顧客は、クーポンを発行する店舗やより安い価格を展開する店舗に次々と移り、定着しづらい傾向があります。
また技術を重視する顧客からは、安かろう悪かろうのサービスだと誤解される恐れもあります。
低価格にすることは顧客単価を下げ、店舗の収益が落ち込む要因にもなり得るため、安易に価格見直しをするのはリスキーです。
店舗の魅力やスタッフの強みをアピールすることが重要
「ネイリストとの相性」が最重要という結果からも、スタッフ一人ひとりの得意分野や人となりなどを棚卸し個性をアピールすることは、サロン独自の魅力につながり効果的です。
また、企業ブランドや経営理念など大きな軸を明確化すると、顧客は信頼感を抱いたり、サロンイメージを持ちやすくなったりします。
サロンコンセプトやスタッフの魅力以外にも、立地、雰囲気、設備、特徴など店舗を取り巻く要素を洗い出し、集客のターゲット設定に活かすと効果的です。
新規顧客の集客に効く方法7選
見込み客の集客に役立つ方法を紹介します。具体的な施策を打つ前に、ターゲティングを丁寧に落とし込み、想定する顧客を意識して施策を進めることが重要です。ターゲットの年代や住む地域に合わせ、さまざまなメディアを横断的に利用してアプローチしていきます。
1. ブログで有益情報を発信
サロンのブログは、見込み客がサロンイメージを膨らませるための情報発信ツールとして便利です。
個人のブログは日記に近いものでも成立しますが、サロンのブログであれば顧客が有益だと思える情報をテンポよく発信することを心がけます。
単調な内容にならないよう、プロが教えるネイルケアの方法、といった役立つ情報や、お客様インタビューを掲載するなどバラエティに富んだコンテンツを載せ、安心感や興味を促進します。
大手インターネット企業が提供するブログサービスを利用する、あるいは自分でサーバーを借りて開設するというやり方があります。
2. SNSでデザインのポートフォリトを公開
ブログに比べ、シンプルかつ高頻度で投稿できるSNSをネイルデザインのポートフォリトとして活用します。Instagramは画像投稿がメインのためネイルサロンと相性が良く、10代~50代の幅広い女性への宣伝が可能です。
ネイルチップや施術後のネイルなど豊富に発信したり、季節や流行を意識したデザインも随時更新するとファン獲得につながりやすくなります。
予約状況を投稿して、空き時間の可視化も有効です。
3. Google検索やGoogleマップでの店舗情報更新
Google マイビジネスへサロンを登録すると、Googleの検索結果に表示される店舗情報を編集できます。
ユーザーの検索に関連性が高いと判断されれば検索結果の上方に表示され、オンラインでの露出を高められます。
ローカル検索の結果で店舗の魅力を伝えられることは、店舗への訪問を前提とするネイルサロンにとって強力なです。登録は無料ででき、掲載後は口コミやスコアなども集約できるため便利です。
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4. YouTubeで施術の流れやサロン内を紹介
最寄り駅からのルートや、店内の雰囲気、来店して施術完了までの一連の様子などを動画で公開することで、顧客はシミュレーションがしやすくなり、初回来店前の不安を解消します。
動画全体を通して店舗のブランディングと合わせると一貫性が生まれ、来店時の違和感も防止できます。
5. チラシや看板で存在をアピール
地域ビジネスにおいて、チラシは有効な手段です。ネイルサロンの場合は、半径3~5km圏内の顧客が対象範囲になるため、エリアを絞って配架します。
サロンの立地が人気のない場所の場合、近所にサロンがあることすら知らない人もいると想定し、地域情報としてプッシュ型で届け認知度を上げることが重要です。
また通行が多い路面に看板を設置し、往来する人の目に留まるようにすることでも認知度の向上をはかることができます。看板を見てそのまま足を運ぶことはあまり期待できないため、看板や設置したチラシなどにサロンページのQRコードを印字すると予約を促進できます。
6. ホットペッパービューティーやminimoで予約促進
サロン検索サイトに掲載すると、顧客が指定した立地や空き状況などの条件に合致すれば検索結果に表示され、意欲の高い顧客からの閲覧機会を増やせます。
また、店舗ページからそのまま予約や問い合わせができる導線設計のため、高い集客効果が見込めるのも長所です。
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7. 紹介キャンペーンで顧客から輪を広げる
紹介した人、された人に対し割引を適用するなどの紹介キャンペーンを展開することも集客力を高めます。
似たような趣味嗜好を持つ女性の輪の中でサロンを紹介すると、興味が掻き立てられ、集客にもつながりやすい傾向があります。既存顧客にもメリットがあるため、再来店促進の効果も得られます。
リピーターやロイヤルカスタマーを増やす方法3選
オープンしたばかりのサロンなどは特に、認知度を上げ、新たな顧客を開拓することが大切ですが、一方で、安定した収益や店舗の評価向上につながるリピーターの存在も重要です。
新規顧客をリピート顧客に移行できるよう継続的にコミュニケーションを取り、定着化を図ります。
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1. 初来店後にサンキューレターを送付
初来店で感じた印象や、その後のフォローが2回目以降の来店に大きく影響します。
顧客の心が温まっているうちにサンキューレターを送り、改めて来店に対する感謝の気持ちを伝えると良いでしょう。
手書きのメッセージは顧客との距離をさらに縮める効果があります。
2. LINEの友だち追加で距離を縮める
LINEにサロンの公式アカウントを作り、顧客とのコミュニケーションツールとして活用します。
次回来店時に利用できるクーポンや季節に合わせたネイルアート、キャンペーン告知など、顧客がチェックしたくなるような情報を送り、関係性を持続します。
顧客からの問い合わせや予約も1対1でやり取りができ、個別対応の特別感があるのも特徴です。
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3. ハガキやメールなどでDMを届ける
アナログでもデジタルでも送れるDMは、ターゲット層によって送付手段を変えたり、それぞれの長所を活かして使い分けができます。
ハガキは視覚的にインパクトを与えるデザインを施し、注目度を高められ、メールは低コストで大量の宛先にメッセージや情報を送れます。
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ネイル市場の動向と将来予測
「ジェルネイル」が流行したのは2000年代ですが、20年弱が経過した今、マーケットの状況と今後の展開について解説します。
サロン増加で成熟期、価格競争が激化
2020年上期までの調査では、20代女性の利用率が2割を超え、過去5年間で最も高くなっています。
女性全体で見ても、利用金額が3年連続で増えており、サロン通いがより一般化しつつあると捉えられます。
15~19歳という若い世代では、女性だけでなく男性の利用率も前年比から増加し、美意識の高さが推察されます。
一方で、サロンは市場に溢れ飽和状態となっており、低価格で提供する店舗も増えていることなどから、1店舗あたりの売上げは2008年から継続して減少傾向です。売上げが好調な店舗と低迷している店舗の格差が生じる可能性があります。
<参照>
スライド 1 - B_nail_census_202006.pdf
リピートが絶えないネイルサロンになるための11のヒント(Beaty総研)
ネイル市場規模はサロンサービス1736億5000万円、産業全体で2321億円 | ビュートピア(Beautopia)
セルフネイルには無い付加価値を広げる必要あり
自宅でセルフケアをする「おうち美容」の波により、ネイルに限らず美容商品全般の消費が伸びています。
コロナ禍で高機能商品も増加し、サロン需要への影響も考えられます。今後はサロンならではの売りを打ち出すことが、顧客獲得の分岐点になるでしょう。
ブランディング強化と効果的な情報発信で、他社と差別化
ネイルサロンは当初、美容意識が高い一部の人が利用するもの、もしくは贅沢なサービスという位置づけでしたが、今や年代に関わらず多くの女性が利用し、男性利用も増えるなど身近な存在になってきています。
また、一貫したブランドイメージの確立に努め、新規と既存でセグメントを分けてニーズを読み取り、マーケティング施策に活かすことが集客や固定客の増加に結びつきます。
多数あるサロンの中から自店舗への興味を促進するには、顧客の店舗検討時に役立てられるわかりやすい情報提供から、トレンドを取り入れた施術や接客の質、アフターフォローまでの顧客の体験を一貫したものとしてとらえ、すべてのフェーズで評価されるコンテンツを展開することが重要です。
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※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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