近年、AIや画像処理技術などが進歩して、従来にはなかった取り組みなども見られるようになってきました。またスマホが広く普及したことで、以前ではできなかったキャンペーンの方式も可能となりました。
たとえば東芝テック株式会社の「スマートレシート」では、スマホを通じてクーポンを配布できたり、キャンペーンを開催できたりします。電子レシートについては、2018年には経済産業省が実証実験を行うなど注目を集めていました。
コロナ禍で消費者の行動やニーズが変わったため、非接触でも可能な販促・集客施策の重要性は高まっています。そこでこの記事では「レシート」に焦点を当てて、デジタルツールやデータを活用した新たな販促、集客の施策を紹介します。
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キャンペーンサイトにアクセス、レシート撮影→応募完了/ららぽーと・ツルハドラッグ
株式会社ウィナスは、レシートを使ったキャンペーンができるサービス「itsmonレシート」を提供しています。
「itsmonレシート」は、購入者がレシートを撮影して抽選などに参加できるサービスです。ららぽーとなどのショッピングセンター、ツルハドラッグなどドラッグストア各社で導入実績があります。
参加者は、キャンペーンページにアクセスし、撮影されたレシートの画像をアップします。応募条件を満たしているかは、AIが判断します。
このようなシステムを使えば、従来のようなハガキやシールを用いたキャンペーンよりも時間や手間を削減でき、その分コストも削減できます。またコロナ禍で非接触需要が高まる中、従来の手法よりも接触の機会を減らすこともできます。
この他、ある飲食系の競合メーカー数社が参加した施策では、1か月で数十万件の応募が見られる巨大キャンペーンの様相を呈しました。
AIが最適な広告デザインを選定/ローソン
レシートを利用したキャンペーンや広告は以前からも展開されてきましたが、ローソンは今年、印刷される広告ビジュアルをAIが選定する新たな広告配信を開始しました。
会員のデータの購入履歴や性別、年齢などをもとにAIがその人の特徴を解析して、最適なレシート広告を発行します。
例えば、過去の購買履歴から健康志向が高い人に対しては、商品のヘルシーさをアピールし、また新商品に興味を持つ人に対しては、商品の新しさをアピールします。
このように同じ商品でも、購入者の特徴に合わせてキャッチコピーやデザインを変化させます。今年8月に行われた実証実験では、会員の購入率がレシート広告を出さない場合で4倍、レシート広告を出した場合で12倍と効果が明らかになりました。
この結果を受け、ローソンは来年3月からAIを使ったレシート広告を本格的に開始すると発表しました。
"レア"なレシートで販促効果/スターバックス コーヒー
レシートは基本的には消費者の手元に渡るものですが、消費者は必ずしも詳細を確認していません。いくらお得なキャンペーンや魅力的な広告が印刷されていたとしても、注目してもらうことは容易ではありません。
スターバックスコーヒーは、こうした問題を「珍しさ」と「回答することによるメリット」を提供することで解決しいます。
スターバックスは、以前からごくたまに「当たりレシート」を出すという施策を行っています。このレシートは「カスタマーヴォイスクーポン」と呼ばれており、このレシートがでた顧客はQRコードからアンケートに答えることで、クーポンがもらえます。アンケートは、満足度などいくつかの項目を回答するようになっています。
このような施策により、スターバックスは貴重な消費者の声を知る機会を得ることに成功しています。同時に、話題性の高さによる宣伝効果、またクーポン配布による再来店効果を期待できます。
顧客の声は、不満も応援も店舗別に集計され、改善に生かされているとのことです。
TwitterのDMで送信、フォロワー増も期待できるレシートキャンペーン
レシートキャンペーンを展開するためには、撮影したレシートを受け取る仕組みが必要になります。専用サイトを設けたり、アプリを開発することは小さくない負担が生じるでしょう。
こうした対応が現実的でない場合には、もっと小さい規模からスタートすることも可能です。たとえば株式会社トランスが提供する「pashatto for Twitter」を利用すれば、TwitterのDMを利用して、購入者を対象としたレシートキャンペーンを展開することも可能です。
店舗で対象商品を購入した人が、レシートを店舗のTwitterアカウントのDMに送り、AIが自動で参加可能かを判定します。当選者が決まったあとには、DMでメッセージを送信できます。
このシステムを使えば、応募シールやハガキなどのコストを削減できるのに加え、Twitterでの情報拡散やフォロワーの増加も見込めます。SNSを通じて参加できるため、参加のハードルが低い点もメリットです。
レシートを通じて顧客を楽しませ、購買意欲を高める
このようにレシートを活用した販促や集客の施策は多様です。またAIや最新の画像処理技術を使うことで、その幅は広がっています。
感染対策のため接触の機会を減らしつつも、顧客と接点を持ち、満足度を高めていくことは重要です。レシートは顧客との接点のひとつであり、上手く活用すれば再来店のきっかけになります。
そのため、ただレシートを電子化するのではなく、顧客との有益な接点となる仕組みづくりが重要です。この記事で紹介した事例のように、顧客の参加しやすさや特別の演出など、満足度を向上させる施策が必要です。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
<参照>
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itsmonレシート公式
スマートレシート公式
pashatto for Twitter 公式
ローソン:<参考資料>AIを活用したレシート広告を配信