「コンプライアンス」違反事例4選:原因と4つの対策を紹介

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コンプライアンスは「法令尊守」などと訳される言葉ですが、近年では企業が法律や企業倫理を遵守することという意味で使われます。法律や企業倫理は会社に関係するすべての人が理解し、その理解に基づいて行動することが望ましいと考えられています。

その一方で、細部まで体系づけて理解している人は多くはないのが現状だといえます。

以下では、コンプライアンスという言葉の定義について解説するとともに、コンプライアンスの違反事例や遵守のための予防策、違反した際の対応策について紹介します。

コンプライアンスとは?

コンプライアンスの意味は、日本語では法令遵守と訳されます。しかし、コンプライアンス=法律を守るという認識だけでは不十分です。

ビジネスの場で使われるコンプライアンスとは、企業が法律や倫理観、道徳観、社内規範などを守りながら企業活動をするという、より広範囲な定義で使われることが一般的です。

コンプライアンスが注目されている3つの背景

コンプライアンスが企業活動をする上で注目を集めるようになった背景には、大きく3つの要因があります。

まず1つ目は、1980年代以降に3公社(電電公社、専売公社、国鉄)の民営化や規制の撤廃により、企業がそれまでより自由に活動できるようになった一方、自らの活動に責任を負う必要が生まれ、企業の自己責任体制と社会への情報公開が要求されるようになったことです。

2つ目は、企業による粉飾決算や脱税が判明し、結果として倒産につながる例が中規模以上の倒産で目立っているという原因が考えられます。

3つ目は、法改正による制度の変更です。コンプライアンス体制を確立するために、行政改革大綱の方針に加え、関連する法の改正もなされてきています。

CSRとコンプライアンスの関係

CSRとは corporate social responsibilityの略称であり、企業の社会的責任を意味する言葉です。

企業は自社の利益追求を優先するだけでなく、自社の取り組みが社会にどのような影響をもたらすかについて常に考えることが求められています。

CSRコンプライアンスとの棲み分けですが、企業の社会的責任という広義の意味を有するCSRの考えの中に、コンプライアンスという法令や社会道徳の遵守を意味する単語が含まれていると考えられます。

コンプライアンス違反の事例4選

コンプライアンス違反や不祥事が起きてしまうことは企業の社会的信用を失うきっかけとなり、最悪の場合には事業の継続が難しくなります。

そのような事態を引き起こさないためにも、過去にどのようなコンプライアンス違反や不祥事があったのか、4つのコンプライアンス違反事例について解説します。

1. 個人情報の流出

企業にとって顧客情報は、重要な資産の1つです。その情報を流出させてしまうことは、顧客からの信頼を失うだけでなく、社会全体の信頼を失うことにつながります。

代表的な事例として挙げられる、2014年に起きた個人情報の流出事件で、当該企業は社会的信用を大きく損なう出来事となりました。

2. 労働基準法違反やハラスメント

働き方改革やワークライフバランスの重要性が注目され、長時間労働や労働基準法違反、または職場でのハラスメントの横行などブラック企業のイメージが想起される会社は、社会的に負のイメージを形成しやすく、評判や信頼を落としやすいといえます。

代表的な事例として、大手広告代理店の女性新入社員が過労を苦に自殺した事件が記憶に新しく、世間の注目を集めました。

この事件のように、長時間労働や労働基準法違反、ハラスメントの横行などがイメージとして定着してしまった場合、社会からのマイナスなイメージを払拭するのに長い時間が必要になります。

3. 損失隠しの決算書類

不正会計が起きてしまう背景として、企業価値を保つために損出を隠蔽するというケースが目立ちます。

しかし、その不正会計が明るみに出た際には、社会的信用を大きく失い、事業規模の縮小、巨額の賠償責任を負うなど、結果的に事態をさらに悪い方向へ向かわせてしまいます。

4. 食品の偽装表示と衛生管理

社会的に食の安全を損なう不祥事が相次ぎ、社会の食の安全性に向けられる視線は厳しくなっています。

食に関するコンプライアンス違反の事例について、代表的な2件を紹介します。

1つ目は、食品の偽装表示問題です。

たとえば、産地の偽装や賞味期限の偽装などが代表的な行為です。食の安全を揺るがすこのような行為は、店舗のブランドイメージを下げるだけでなく、廃業に追い込まれるほど重大な問題へと発展します。

ある高級料亭で産地の偽りや賞味期限の偽装が発覚し、結果的に廃業に追い込まれる結果となりました。

2つ目は、食品の衛生管理問題です。

注目が集まったきっかけには、焼肉チェーン会社が適切な処理をしない生肉を提供し、消費者に被害を与えた事件があります。

複数名の死者を出し、多くの人に健康被害を生んだこの事件は社会的にも大きな問題となり、その後この会社は廃業することとなりました。

この事件をきっかけに、さまざまな基準が見直され、牛生レバーの提供が禁止となりました。

コンプライアンス違反が発生する原因と、発生を防止するための4つの対策

企業全体でコンプライアンスを遵守していくために、具体的に取り入れられる予防策について紹介します。

また、コンプライアンス違反に注意を払っていた場合でも、コンプライアンス違反が発生してしまうケースもあります。

万が一の場合に企業に求められる事後対応についても合わせて解説します。

コンプライアンス違反が起きる原因

コンプライアンス違反には、意図しない違反と意図的に違反する場合との大きく分けて2通りあります。意図しない違反の原因は、役員などの管理者の認識不足や管理意識の低さ、または社員一人ひとりの意識の低さが主な原因です。

意図的なコンプライアンス違反の原因は、会社の利益または個人の利益を優先した行動によって起こります。

コンプライアンス違反を防止する4つの対策

企業がコンプライアンスを遵守していくためには、いくつかの取り組みを組織内で整備し、会社全体で体制を整えていくことが大切です。

1つ目に、行動規範に明記する取り組みが挙げられます。行動規範は企業理念を浸透させるために用いられ、抽象的になりがちな企業理念を実現するために、何をすべきかを明示するものです。

また定めるだけでなく、企業の代表がその規範を社員に浸透させ、企業風土として成り立たせていくことが必要です。

2つ目は、従うべきルールとして落とし込むために各規定の策定が良いでしょう。

就業規則に違反行動や違反した場合の処分について明記することにより、社員は何をしてはいけないかが理解しやすくなります。

3つ目は、コンプライアンス推進部門の整備です。

規範や規定を浸透させ、かつ柔軟に変更していく部門の設立が求められます。また何か問題が生じた際に素早く対応するためにも、専門知識を持った部門が必要です。

4つ目は、教育体制の整備です。組織に属するすべての人が自社のコンプライアンスについて理解しておくことが重要で、そのために社員教育などを通して知る機会を提供する必要があります。

教育を繰り返すことでコンプライアンスに対する意識の向上や知識の定着ができるでしょう。

もしコンプラアインス違反が発生してしまったら?

コンプライアンス違反が発生した際は、素早く事実の把握が必要です。企業のトップや専門チームは発生原因や動機、被害状況などを最優先で調査する必要があります。

状況を把握した後は、問題の内容や規模によって自社内で処理するのか、弁護士などの専門知識を持った第三者に対応を求めるのか判断します。

特に顧客や取引先、株主などのステークホルダーへの損害が発生する場合は、謝罪対応や示談・裁判などの準備、場合によっては報道機関を通して問題の公表と謝罪が必要となります。

またコンプライアンス違反が発生した際は、問題が発覚したタイミングで事実を認めること、被害を与えてしまった場合、被害者に対して誠実な対応をとることが求められます。

事態の原因となる人物に対する処罰も慎重に検討する必要があります。処遇に不服がある場合、新たな問題となりかねないため、専門家など第三者の意見を取り入れるなどして慎重かつ公正な処分をすることが求められます。

コンプライアンス遵守には社内制度の整備が重要

近年、消費者はサービスや製品だけでなく、それをを提供する企業の労働環境や倫理観にまで関心を払うようになっています。

こうした中でコンプラ慰安す違反が起きれば、その後のビジネスにも大きな影響を受けることは避けられないでしょう。

違反行為を起こさないためにも、まずはコンプライアンスについての理解を深め、そして会社の中で規範や規定を定め、組織に浸透させていくことが重要です。

またコンプライアンス違反行為とは知らずに違反しているケースも目立つため、社員への教育はコンプライアンス違反を予防するうえで欠かせない施策といえます。

まずは会社のコンプライアンスへの取り組みについて見直し、改善点がないかを点検してみるとよいでしょう。

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