県民割の対象範囲拡大/観光庁「観光DX推進」最大1億円支援【宿泊業界動向まとめ 2022年3月】

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2022年3月でまん延防止等重点措置が全国的に解除となりました。

新型コロナウイルスの感染状況は注視しつつも、岸田総理大臣や国土交通省の斎藤大臣が「Go Toトラベル事業」について前向きな発言をしたり県民割の対象範囲が拡大されたり、旅行・宿泊業界にとって需要回復が期待される発表がありました。

この記事では、3月の宿泊業界動向についてまとめます。

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Go To「適切な時期に再開」

岸田総理大臣は3月12日の取材にて、観光需要の喚起策「Go Toトラベル事業」の再開時期について発言しました。

岸田総理は観光業に従事する人を中心にGo Toトラベル事業への期待が大きいことを認識しているとしたうえで、「具体的な時期については、今後の感染状況や専門家の意見も聴きながら考えていかなければならない。適切な時期が来れば迅速に再開できるよう、準備は進めていきたい」と、前向きな考えを述べています。

県民割拡大後に「Go To」再開

「Go Toトラベル事業」を管轄する国土交通省の斎藤大臣は3月15日の国会にて、Go Toトラベル事業再開についての質問へ以下のように回答しています。

現在、一部の県で「県民割り」が行われています。
その県民割りを、例えばブロックに拡大するというようなステップを踏んで、全国でのGo Toトラベル再開という順序になっていくと思うのですけれども、そこに春休みやゴールデンウィークといったいわゆる繁忙期が入ってくるわけですが、どのような形で行えば先ほど申し上げた旅行者、地域のみなさん、双方から安全で安心して使っていただけるか、そのようなことも含めながら、検討していきたいと思っています。
岸田総理、斎藤大臣はともにGo Toトラベル事業再開に前向きな姿勢は示しつつも、具体的な再開時期は明言していません。

県民割 対象範囲拡大

観光庁は3月25日に、都道府県ごとの旅行支援、いわゆる「県民割」の仕様が一部変更となったことを発表しました。

観光庁の資料によると、これまで県内や近接都道府県からの県内旅行に限定されていた県民割支援の対象を、4月1日より都道府県間の同意を前提として、同一の地域ブロックにある都道府県まで対象範囲を拡大して追加するとしています。

地域ブロックは、日本を「北海道・東北」「関東」「北陸信越・中部」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の6つに分け、それぞれのブロックには以下の都道府県が割り振られています。

<県民割の地域ブロック範囲>

北海道・東北ブロック: 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
関東ブロック:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨
北陸信越・中部ブロック:新潟、富山、石川、長野、福井、岐阜、静岡、愛知、三重
近畿ブロック:滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
中国・四国ブロック:鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知
九州・沖縄ブロック:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

対象範囲をブロック全体に拡大するには同一ブロックの都道府県知事の合意が必要となりますが、対象が拡大されればブロック内の他の都道府県からの人も県民割を使えるため、観光業界の回復に一定の効果が期待されます。

しかし一方で、都道府県を横断した旅行が増えることから、感染対策としては弱まる可能性も懸念されます。また、併せて県民割支援の期間を2022年4月28日宿泊分(4月29日チェックアウト分)まで延長されます。

「ワクチン3回接種」利用条件変更

県民割の利用条件が4月1日より、「ワクチンを3回接種済であること、または検査結果が陰性であること」に変更になりました。

ただし、「同一県内の旅行」の場合は、知事の判断で従来の「ワクチン2回接種、または検査結果が陰性」であれば運用可能としています。

新型コロナウイルスワクチンの3回目接種者の割合は4月14日時点で約46.8%で、また20代・30代への接種はあまり進んでいないため、「ワクチン3回接種」は現時点では高いハードルだと言えます。

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宿泊業界主要ニュース

次に、宿泊業界に関する主要ニュースをお伝えします。

観光DX推進 観光庁が最大1億円支援

観光庁は、観光分野におけるデジタル技術の導入やDX推進を計る「DXの推進による観光・地域経済活性化実証事業」の公募を開始しました。

この事業は、長引くコロナ禍で潜在的な観光へのニーズの高まりから、感染が落ち着いた後のポストコロナを見据えた観光地経営の改善を目的としており、デジタル技術の開発、活用による体験価値向上や観光関連システム、データの連携促進などによる観光地の「売上増加」「コスト削減」「再来訪率向上(リピート化)」の実現を目指す提案を求めています。

予算は1事業当たり平均4,000万円(上限1億円)を想定しており、デジタルの難易度と地域規模によって以下のように区分が設定されています。


地域規模(狭域)

地域規模(広域)

デジタルの難易度(低)

3,000万円程度

4,000万円程度

デジタルの難易度(高)

6,000万円程度

1億円程度

申請期限は2022年5月13日の17時必着までとなっており、電子メールによる提出に限るとのことです。(4月14日現在)

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リクルートと提携して「観光DX」/箱根町

神奈川県箱根町とリクルートは3月22日に、観光DXを目的とした包括連携協定を締結したことを発表しました。

この協定のもと、箱根町とリクルートは協働で各地域の観光DXモデルとなる「地域消費分析プラットフォーム構築」のための実証実験を開始するとしています。

全国でも有数の温泉観光地である箱根町が抱える繁忙期における観光客の集中化、混雑などの課題に対して、リクルートが提供する業務、経営支援サービス「Air ビジネスツールズ」を地域事業者に設置の事業化やリクルートが保有している宿泊実態統計データなどを提供しての「地域消費分析プラットフォーム構築」を目指すとのことです。

同社が特定地域に対して情報提供などの支援を行うのは山梨県富士吉田市、新潟県妙高市に続いて今回の箱根町が3例目となります。

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人手不足解消 Amazon Echoで自動対応

AIスピーカー、チャットシステムを提供する「TradFit」は、近鉄不動産株式会社が3月18日に開業した「フォーズホテル 近鉄 大阪難波」の全69室に、スマートスピーカーのTradFitサービスプラットフォームが導入されたことを発表しました。

全客室に設置されたスマートスピーカーによって、音声での各種コンシェルジュや空調操作、照明スイッチ操作、テレビ操作が可能となり、コロナ禍に求められる非接触化と宿泊業の人手不足解消、人件費の削減を実現します。

脱プラへ 取り組み進む

2022年4月1日より「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されています。

この法案では主に大手企業に対してプラスチック製品の廃棄物排出の抑制や再資源化などへの取り組みが求められています。

この法律の施行を受けて、プラスチック削減やプラスチックのリサイクル事業の強化をおこなっている企業や施設が多く見られています。

宿泊業でも、「ヘアブラシ」「くし」「かみそり」「シャワーキャップ」「歯ブラシ」などの客室で提供されるアメニティについてさまざまな取り組みがなされています。

<帝国ホテル

  • 客室のアメニティ(剃刀、歯ブラシ、ヘアブラシなど)を竹製や木製に切り換え
  • シャワーキャップや衣類カバーなどは植物由来の製品を採用

<プリンスホテル

  • 客室のアメニティを撤去し歯ブラシなどの持ち込みを宿泊客に呼びかけ
  • 使い捨てアメニティの不使用に協力してくれた分を自治体の環境保全活動に寄付
  • 将来的には使い捨てアメニティの提供終了を目指す
  • 客室で提供しているミネラルウォーターをラベルレスで100%リサイクルペットボトルに順次変更

ホテルオークラ>

  • 客室のアメニティ(剃刀、歯ブラシ、ヘアブラシ、シャワーキャップなど)をバイオマス素材配合品に切り替え
  • シャワーキャップは常備提供ではなく宿泊客のリクエストに応じて提供
  • 連泊の場合歯ブラシ、ヘアブラシ、くしを新規補充しない
バイオマス素材配合品で作られたフォーク、ナイフ、マドラー
▲バイオマス素材配合品で作られたフォーク、ナイフ、マドラー:ホテルオークラプレスリリース
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帝国ホテル建て替えへ

内幸町一丁目街区の再開発プロジェクト「TOKYO CROSS PARK構想」に伴い、帝国ホテルの東京事業所は2024年から2036年にかけて建て替えが実施される予定です。

帝国ホテルは東京事業所の建て替え期間中の営業継続計画として、中地区へ営業エリアを拡張して営業を成長的に継続することを3月25日に発表しました。

具体的には、中地区に2029年完成予定のセントラルタワー内の宴会場スペースを帝国ホテルの宴会場として運営、また、宿泊特化型のスモールラグジュアリータイプの新ブランドホテルを開業するとのことです。

帝国ホテル 内幸町一丁目街区完成イメージ
▲内幸町一丁目街区完成イメージ/帝国ホテルニュースリリースより

梅田にホテル開業へ 攻めの経営/JR西日本ホテルズ

JR西日本ホテルズはアメリカに本社を置くマリオット・インターナショナルと提携して、大阪府大阪市の梅田にホテルを出店することを3月24日に発表しました。

今回JR西日本ホテルズがホテルを出店する梅田は、旧大阪中央郵便局敷地を含む大阪駅西地区の「梅田3丁目計画(仮称)」として開発されている地域で、計画されているホテルは418室の客室規模で、2024年夏の開業を予定しているとのことです。

宿泊業関連のデータ:2月分

ここでは、3月に発表された宿泊業の各種データについて紹介します。

宿泊旅行統計(2月分)

国土交通省の観光庁が発表した宿泊旅行統計によると、2月の延べ宿泊者数は2,364万人泊となっています。

外国人延べ宿泊者数は、約23万5,260人泊と依然として少ない状況が続いています。

また、客室稼働率は34.5%と低迷しており、こちらも厳しい状態が続いています。

内閣府「景気ウォッチャー調査」(2月分)

内閣府による「景気ウォッチャー調査」では、新型コロナウイルスの感染が収まらず、まん延防止等重点措置の影響で旅行・宿泊業関係者からは先月1月よりもひどい状況になっているとの声が見られました。

修学旅行のキャンセルもあり、団体客の需要が壊滅的で、回復の兆しが見えず、また、ロシアのウクライナへの侵攻によって、ガソリンや食料品の値上げが観光需要を低下させることも懸念されています。

博報堂生活総研 [来月の消費予報・4月]

2022年4月の消費意欲指数は48.0点で、前月比では0.9点増、前年比では0.3点増となりました。

4月は例年3月からの消費意欲の変動が少ない月となりますが、2022年4月は過去5年の4月の中では最も高い消費意欲の数値で、先月同様に消費意欲が4月も継続する様子です。

カテゴリー別では、まん延防止等重点措置が解除となったこともあり「旅行」「車・バイク」などの外向きの消費意欲が前月比で20人以上増加しています。

博報堂生活総研の来月の消費予報・2022年4月
▲博報堂生活総研[来月の消費予報・2022年4月]

口コミラボ セミナー紹介&最新版MEOまとめ

【24年3月版 Googleマップ・MEO最新情報まとめ】


MEOに関わるサービス「Googleマップ」「Googleビジネスプロフィール」や、各種地図アプリ・口コミサイトは日々更新を続けており、その全容を把握するのは難しくなっています。

そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。

本記事では、2024年2月〜3月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。

※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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<参照>

NHK NEWS WEB:岸田首相 Go Toトラベル「適切な時期に再開できるよう準備」
国土交通省:斉藤大臣会見要旨
観光庁:県民割支援(地域観光事業支援(需要創出))の 運用変更について
NHK NEWS WEB:ワクチン3回目接種率 20代と30代は20%台
首相官邸ホームページ:新型コロナワクチンについて
観光庁:【公募期間延長】「DXの推進による観光・地域経済活性化実証事業」の公募を開始します
PR TIMES:リクルート、神奈川県箱根町と観光DXのための包括連携協定を締結
PR TIMES:TradFit、近鉄不動産の「フォーズホテル 近鉄 大阪難波」に全室導入
帝国ホテル:プラスチック使用量の削減計画について
PR TIMES:サステナブルなホテルチェーンを目指し、プラスチックごみの削減を推進します
PR TIMES:【ホテルオークラ京都】プラスチックごみ削減に向けた取り組み
帝国ホテル:帝国ホテル 東京の建て替え期間中における営業継続計画について
PR TIMES:JR西日本ホテルズがマリオット・インターナショナルと初提携「梅田3丁目計画(仮称)」へホテル出店のお知らせ
観光庁:宿泊旅行統計調査
内閣府:令和4年2月調査
博報堂:博報堂生活総研[来月の消費予報・2022年4月](消費意欲指数)

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    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

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