「売らない」百貨店・SDGs意識の若者向けオフプライスストア開店など/小売業界動向まとめ【2021年9月】

2021年は8月に過去最大の新型コロナウイルスの感染拡大となったために、8月の小売業態は全体的に低迷し、販売額は6か月ぶりの減少となりました。

9月になって新規感染者数は減少傾向となり、10月から緊急事態宣言を全面解除することが決定され、今後の消費活動の活発化が期待されます。

8月の感染拡大と10月の宣言解除の間に挟まれた9月の小売業界では、セルフレジやスマホレジなどのDX化を進める取り組みや、百貨店で商品を売らないショールーミングスペースがオープンするなど、コロナ禍で生まれた新しいニーズに対応していく動きが見られました。

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小売DXすすむ、スマホレジや無人店舗の広がり

9月の小売業界で見られた傾向の1つとして、コンビニエンスストアや食品スーパーマーケットなどの業態で、レジ業務効率化を図る試みが多くありました。

働き手不足の解消や人件費の削減、さらにはコロナ禍での他人との接触機会を減らすことなどが狙いです。

ヨークベニマルでは230を超える店舗にセルフレジを導入しており、2021年2月期には初めてセルフレジの利用率が客数ベースで5割を超えたとのことで、セルフレジがコロナ禍で積極的に利用されていることがわかりました。

また、セルフレジ以外にもアプリやスマホを用いたより先進的なDX(デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation)への取り組みも見られます。

セブンイレブン/スマホレジ導入

9月22日の日本経済新聞によると、セブンイレブンを運営するセブン‐イレブン・ジャパンは日本とアメリカの店舗に対して、利用客が自身のスマートフォンを使用して商品の読み取りから決済までを完了できる「スマホレジ」を導入するとのことです。

利用客は自身のスマホに専用アプリをダウンロードし、購入したい商品のバーコードをスマホのカメラで撮影して読み取ります。

商品バーコードの読み取りが終わったら合計金額を確認してアプリ上で決済するので、スタッフがいるレジに立ち寄らずに買い物でき、スタッフのレジ業務負担が減るのでその分他のサービスや業務へ注力できるようになります。

アメリカではすでに3,000の店舗でスマホレジが導入されており、このノウハウから日本でも2021年度中にシステムを構築し、2022年春には、まず東京と大阪の直営店から導入をスタートさせる予定です。

<参照>
セブン、日米でスマホレジ 客自身が読み取り・決済: 日本経済新聞
セブンイレブンが「スマホレジ」システムを導入、万引き対策は万全か? | 財経新聞

ファミリーマート/2024年末までに「無人店」1,000店舗へ

コンビニ大手のファミリーマートでは、レジにスタッフが常駐しない「無人店」を2024年度末までに1,000店舗まで拡大する方針であることがわかりました。

無人店では専用のゲートと店内に設置されたカメラ、棚のセンサーなどで利用客が手にした商品を把握し、専用の決済端末で代金を支払います。

人件費が削減されることで運営コストがさがり、小規模での出店が可能となるため、買い物が不便となっている過疎地や駅前の狭い立地など、新たな出店候補地が開拓され、頭打ちとされている国内コンビニ市場での成長を見込んでいます。

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イトーヨーカドー/スマホ型セルフレジ導入

イトーヨーカドーは9月14日に、カートとスマホを組み合わせたセルフレジシステムを一部の店舗で導入を開始したことを発表しました。

今回、イトーヨーカドーが導入したセルフレジシステム「IYマイレジピピットカート/ピピットスマホ」は東芝テック株式会社の協力によるもので、買物カートにタブレットやスキャナーを備えた「カート型セルフレジ」と、利用客自身のスマートフォンに専用アプリをダウンロードして利用する「スマホ型セルフレジ」の2種類が提供されています。

利用客自身が買い物をしながら商品のバーコードを読み取り会計機械へ登録した商品情報を転送するので、レジでの待機時間とレジスタッフとの接触機会が削減できます。

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<参照>
買物中に客がバーコード読み取り レジ待ち時間短縮へスキャナー付きカート導入 イトーヨーカ堂 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

スーパーマーケット

コロナ禍でも堅調を維持しているスーパーマーケット業態では、EC事業での新たな取り組みや、「体験型」をテーマとした店舗設計の試みなど、競合との差別化を図るための動きが見られました。

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ダイエー/EC事業を強化

ダイエーは島根県の島根大田市場で水揚げされた魚を最短で買い付け翌日に利用者へ届けるサービスを9月11日より開始しました。

ダイエーは2021年3月より、鮮度や物量などから実店舗では販売が難しい商品をオンラインで販売する「EC事業」の確立に取り組んでいます。

今回始めた取り組みでは、自社のバイヤーが常駐する島根大田市場で買い付けた新鮮な魚を、その日の午後に出荷する「島根大田市場直送 鮮度が自慢!バイヤー厳選おまかせセット」をオンライン限定で提供しています。提供される鮮魚の内容は季節や市場によって異なり、約5キロの6尾から10尾の鮮魚を税込5,400円で販売しています。

<参照>ダイエーが鮮魚を最短で注文翌日に届けるEC限定事業、「商品」「アプリ等の会員基盤」「店舗網」を活用 | ネットショップ担当者フォーラム

マルエツ/体験型スーパーマーケット2店舗出店

東京を中心に関東で展開するマルエツは、近くにある数多くの競合スーパーと差別化を図る試みとして、9月に「体験型スーパーマーケットモデル」の店舗を一之江駅前店と春日駅前店にオープンしました。

利用客のニーズやコロナ禍などでのマーケット環境の変化に対応し、デジタル化と共にリアル店舗の強みを活かして、「鮮度」「商品との出会い」「ストレスゼロ」「繋がり」という4つの価値を提供していくとしています。

また、一之江駅前店に導入される「体験型ステーションMeet!」では、さまざまなメーカーやスタートアップ企業などが提案する新しいアイデアや製品などを展示、紹介するとしています。

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<参照>
マルエツ一之江駅前オープンのお知らせ

百貨店

百貨店業態はコロナ禍で休業を余儀なくされたり外出自粛などから厳しい状況が続いていました。

そんな苦境の中、コロナ禍で生まれたニーズを柔軟に受け入れて、新しいテナントを誘致したりテナント収入を得る試みをしている事例を紹介します。

京王百貨店に「ユザワヤ」趣味カテゴリー強化

京王百貨店新宿店は、4階婦人服売り場に手芸専門店の「ユザワヤ」を9月16日にオープンしました。

近年、ハンドメイドがブームとなったことに加えて、コロナ禍での外出自粛などを背景に趣味として手芸をはじめる人が増え、京王百貨店新宿店では定期的に開催する雑貨やアクセサリーなどを作るワークショップが人気となっていたそうです。

そういったニーズから、コロナ禍で好調となっている部門の更なる拡張を目指して、京王百貨店新宿店は手芸用品を幅広く取り扱うユザワヤを誘致することで、趣味カテゴリーの強化を図っています。

<参照>
京王百貨店/新宿店婦人服フロアに「ユザワヤ」オープン、趣味カテゴリー強化 | 流通ニュース

ショールーミングに特化「売らない店」

コロナ禍の影響によって小売業態も厳しい状況が続いている中で、この苦境を脱するため、実店舗では接客に特化させて購入はオンラインで、という新たな形態を実践している事例があります。

9月27日に大丸松坂屋は、大丸東京店に初となるネット販売に特化したブランドのショールーミングスペース「明日見世(asumise)」を、10月6日からオープンすることを発表しました。

店頭では商品背景を熟知した大丸松坂屋のスタッフが接客を行います。接客ノウハウを持たないネット販売特化型ブランドへ、売り場と接客サービスを提供することでテナント収入を得るとのことです。

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若者向けオフプライスストア「Luck Rack」開店 SDGs意識

「オフプライスストア」として注目されているLuck Rack(ラックラック)は、9月30日に海老名ビナウォーク店をオープンしました。

オフプライスストアとは、メーカーや小売店から余剰在庫を買い取って低価格で販売するという、米国で発展した衣料品などの事業形態です。

積極的な値下げによって廃棄される在庫を削減することで、SDGs(持続可能な開発目標)の循環型社会実現への取り組みにもつながります。

10月にはさらにイオンモールつくば店とイオンモール川口前川店が新規オープンとなることが決定しており、2024年までに50店舗を目指すとしています。

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<参照>
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アメリカで「Amazon百貨店」計画/PB衣料品を起爆剤に

アメリカのAmazon社は来年にも百貨店形式の自社大規模小売店を開設するとされています。

それについて2021年9月23日のウォール・ストリート・ジャーナルでは、店舗へハイテクを駆使した試着室を設けて、AmazonのPB(プライベートブランド)の衣料品を試す機会を提供し、それを起爆剤に、Amazonのオンラインで展開する他社ブランドの衣料品販売促進を計画していると伝えています。

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<参照>「アマゾン百貨店」、PB衣料販売の起爆剤に - WSJ

9月に発表された小売業関連のデータ紹介

8月は新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を記録したことや、天候不順が続いたことなどもあり、小売業体には厳しい月となりました。

9月になると新型コロナウイルスの新規感染者数は減少の傾向が見られ、長く続いていた緊急事態宣言も10月からの全面解除が決定され、消費動向の回復が期待されます。

ここでは、各業態の8月の売り上げデータと9月に発表された小売業関連のデータを紹介します。

各業態 8月の売上動向

:チェーンストアでの総販売額は1兆1,255億円、前年同月比0.5%増

:コンビニエンスストアにおける既存店ベースの売上高は8,972億1,200万円、前年同月比1.9%減

:スーパーマーケットにおける総売上高は1兆532億4,097万円、既存店前年同期比2.4%減

:ショッピングセンターの売上高は3,925億8,409万円で前年同月比11.6%減、2019年同月比28.3%減

:全国の百貨店の売上総額は約2,783億3,192万円、前年同月比11.7%減

:ホームセンターの売上高は2,772億円で前年同月比14.0%減

:ドラッグストアの売上高は6,442億円で前年同月比0.5%増

:家電大型専門店では3,697億円で前年同月比18.3%減

8月の商業動態統計速報

経済産業省が2021年9月30日に発表した8月の商業動態統計速報によると、小売業の販売額は12兆180億円で前年同月比3.2%減となり、6か月ぶりの減少となりました。

減少幅は2020年9月の8.7%減以来の大きさとなり、スーパーやコンビニエンスストア、百貨店、家電大型専門店、ホームセンターのいずれでも前年同月の販売額を下回る結果となっています。

8月に新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を記録したことや、天候不順が続いたことなども大きく影響したと考えられます。

<参照>小売販売額3.2%減、8月 感染拡大で6カ月ぶり減少: 日本経済新聞

博報堂生活総研 [来月の消費予報・10月](消費意欲指数)

博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は9月27日、「来月の消費予報・2021年10月」を発表しました。

<参照>博報堂生活総研 [来月の消費予報・10月](消費意欲指数):時事ドットコム

博報堂生活総研の2021年10月の消費予報
▲来月の消費予報・2021年10月:博報堂生活総研

それによると、8月の消費意欲指数は46.2点で、前月比0.6ポイント増の横ばい、前年比では1.9ポイント減となりました。

しかし、消費意欲を男女別で見てみると、男性は前月比で2.4ポイント減なのに対して、女性は3.7ポイント増となり男女で異なる傾向が見られます。

カテゴリー別の消費以降ではファッションと回答した人は前月よりも38人多く、「秋物、冬物の服が欲しい」という女性の自由回答からも「季節的な消費意欲」が高まっていることがわかりました。

また、前年比では「PC、タブレット」「書籍、エンタメ」の消費意向が20人以上増加しており、新型コロナウイルスへの規制緩和が進んでいた昨年と比較して、ソトではなくウチ向きの消費意欲が高くなっているようです。

10月の全体の消費意欲の勢いはそこまでではないものの、女性の「季節的な消費意欲」や、長く続いた緊急事態宣言が全面解除となってこれまでの自粛生活の反動としての消費が期待されます。

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