ワタミ、ワクチン2回接種で「ドリンク一杯無料」サービスを発表【飲食業界動向まとめ 2021年5月】

4月25日発令された3回目の緊急事態宣言が2回期限延長となり、それに伴う飲食店への時短要請と酒類提供禁止から、5月は飲食店にとって大変厳しい月となりました。

これまで要請に従っていた飲食店でも、協力金の遅れや固定費の負担などから酒を提供しての通常営業を再開するところもあるようです。

ほか、ワタミが新型コロナワクチン2回接種でドリンク一杯無料サービスの開始を発表するなど、時勢に合わせた各飲食店の取り組みにも引き続き注目が集まります。

本記事では、2021年5月の飲食業界の動向についてまとめます。

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5月の飲食業界動向

2021年5月の飲食業界は、4月25日に発令された緊急事態宣言が2回期限延長となり、それに伴う時短要請や休業要請、酒類提供禁止の措置が延長となり厳しい状態が続いています。

ここでは、5月の飲食業界の現状について、報道とデータをまとめたものを解説します。

緊急事態宣言が延長

4月25日に東京都、大阪府、兵庫県、京都府を対象に発令された3回目の緊急事態宣言は、当初はGW明けの5月11日を期限としていましたが、12日より愛知県と福岡県を加えて31日まで延長することが発表されました。

また、埼玉県、千葉県、神奈川県、宮城県、沖縄県を対象に発令されていた「まん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)」には5月9日より北海道、岐阜県、三重県を加えて31日まで延長し、宮城県のみ11日の期限をもって対象から外されることとなりました。

その後、16日に北海道、岡山県、広島県、23日に沖縄県が緊急事態宣言の対象に加えられ、群馬県、石川県、熊本県は16日からまん延防止措置が適用されています。

対象地域では不要不急での外出自粛や、飲食店の時短要請、酒類提供の禁止などの対応が引き続き取られていますが、感染状況は予断を許さない状況にあるとして、5月28日には緊急事態宣言とまん延防止措置の両方を6月20日まで延長することが発表されました。

<緊急事態宣言対象地域>

北海道、東京都、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府、岡山県、広島県、福岡県、沖縄県

<まん延防止措置対象地域>

群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、三重県、熊本県

(群馬県、石川県、熊本県は6月13日までの期限)

5月の各社報道からわかる飲食店の現状

5月は緊急事態宣言やまん延防止措置の対象に地域がつぎつぎと追加され、解除期限も2回延長となりました。

不要不急での外出自粛や飲食店の時短要請、酒類提供禁止の措置など、飲食店の厳しい状況は続いており、大手報道機関ではこの苦境を乗り切るために時短要請に従わない決断をした居酒屋や、協力金申請の煩雑な対応を嘆く声などが取り上げられています。

以下に、一部を抜粋してまとめます。

東京都内で飲食店5店舗を経営する40代の男性は、1~2月分の協力金について、再提出などを経て3月30日に都に申請。4月22日に審査完了のメールを受け取り、30日に協力金が給付された。すぐに2~3月分を申請しようとしたが、申請期日を過ぎており、申請することができなかった。
期日は4月26日だった。男性は期日を把握していたが、2回目となる申請は、1~2月分の入金と同時に交付される支給決定通知に記載されたIDが必要となるため、通知を待っていたが、届いたのは期日が過ぎた後だった。
男性は4月26日以前に確認しようと何度も都のコールセンターに電話したが、一向につながらなかった。30日以降につながり、通知が届いていない場合は、初めて申請する場合と同様の方法で申請しなければならないと説明を受けたという。
男性は再申請の際などに都の職員ともやりとりをし、これまでの協力金も何度も申請してきた。「制度を理解しているつもりだったが、こんな落とし穴があるとは。頑張って協力してギリギリのところでやってもいちるの望みの先がなかった」と落胆する。

「時短営業を続けないといけないなら資金が不足する」。東京都内で居酒屋を営む30代の男性は都の要請に従うのをやめ、アルコールの提供を始めた。2019年の月商は平均150万円あったが、足元は30万円程度。都から支払われる協力金の支給も遅れ、「このままでは生活できない」と覚悟を決めた。
固定費の負担が重い。店主は不動産会社に預けた300万円ほどの保証金の返還や家賃減額の交渉もした。だが「実現したのは保証金の一部の返還のみで(苦境を)乗り切れない」と明かす。

宣言の再延長が決まった28日夜、東京・新宿にある老舗居酒屋は、酒類の提供も含めて通常通り営業していた。3度目の宣言が始まった4月25日から2週間は要請に従い、休業していた。だが、大型連休明け、1回目の延長期間が始まった今月12日から、営業を元に戻した。
 店長の男性(47)は「短期集中ということではじめは協力した。でも、ゴールが見えない。約30人の従業員と店を守るには店を開けるしかない」と話す。再延長については「だらだら延ばすことに意味はない。政府が本腰を入れて全業種を止めるなら従うが、一部のサービス業では制限を緩和している。『経済が大事だ』というが、うちら飲食店の経済はないのでしょうか」と疑問を投げかけた。

TableCheckの飲食店の来店・予約件数推移では

株式会社TableCheckは5月25日、自社の顧客管理システムを導入している飲食店における来店人数データを元に、2021年5月30日までの集計データを公表しています。

それによると、3回目の緊急事態宣言が4月25日に発令されてから1週目は飲食店への客足が減少し、大型連休中の2週目では一度増加したものの、3週目では一気に客足が減少したことがわかりました。

しかし、4週目以降は徐々に飲食店への客足は増加の傾向にあり、自粛期間が長引く中で外食需要が高まってきていることが読み取れます。

TableCheckデータ 緊急事態宣言飲食店客足データ
▲4週目意向客足に増加傾向が見られる:TableCheckデータより

<3回目の緊急事態宣言発令期間の1店舗当たり来店人数の週平均>

  • 1週目(4/25〜5/1):22.2人
  • 2週目(5/2〜5/8):24.3人(大型連休中)
  • 3週目(5/9〜5/15):15.4人(緊急事態宣言延長決定)
  • 4週目(5/16〜5/22):15.9人
  • 5週目(5/23〜5/29):16.7人

また、5月の飲食店1店舗当たり1日の平均来店人数18.9人となり、コロナ禍前の2019年と比較して7割減の数値となることがわかりました。これは2021年1月に次ぐ二番目の低い数字となります。

緊急事態宣言などに伴う飲食店への時短要請や酒類提供禁止などの感染防止策が取られて1年以上経過し、アフターコロナとなる目処が見えないまま飲食店の経営状況は悪化の一途をたどっています。

少しでも早い、感染拡大状況の脱却と飲食店への支援が望まれます。

5月にみられた時短要請を乗り切る飲食店の工夫

4月25日に発令された3回目の緊急事態宣言がその後2回期限延長となり、まん延防止措置とともに6月20日まで延長されることが決定しました。

長引く飲食店への時短要請や酒類提供禁止など、厳しい状態のコロナ禍を乗り切るため、さまざまな工夫や施策を取っている飲食店を紹介します。

緊急事態宣言延長を見越して朝食メニューを提供開始

株式会社ワンダーテーブルが運営するモッツァレラチーズ専門店の「オービカ モッツァレッラバー」は、新型コロナウイルス感染拡大の対応策として、テイクアウトやデリバリー、自社オンラインショップの開設などさまざまに取り組んできました。

今回、3回目の緊急事態宣言の期限が延長されることを予測して新しく朝食メニューの提供を実施すること5月24日に発表しました。

コロナ禍での朝方ニーズへの需要として、新しいオービカ モッツァレッラバーの楽しみ方の1つとして6月1日から提供を開始しています。

ワタミ、新型コロナワクチン2回接種でドリンク一杯無料サービスを順次開始

全国で居酒屋や焼肉店などをチェーン展開しているワタミ株式会社では、新型コロナウイルスのワクチンを2回接種した方を対象に、全国のワタミの飲食店にて、来店時にドリンクを1杯無料でサービスするキャンペーンを5月28日に発表しました。

ワタミグループ全店 新型コロナワクチン2回接種で生ビール一杯無料
▲ワタミグループ全店 新型コロナワクチン2回接種で生ビール一杯無料:プレスリリースより

「外食」文化を取り戻すための飲食店への来店促進と、新型コロナウイルスのワクチン摂取促進の一助とするためのキャンペーンだということで、6月1日以降、緊急事態宣言またはまん延防止措置が解除された地域から全国で順次開催していくとしています。

  • 対象者:厚生労働省が承認した新型コロナウイルスワクチンを2回接種した方が対象、接種完了の証明書を提示
  • 期間:2021年6月1日〜11月30日

5月に始まった飲食業向け支援

3回目の緊急事態宣言とともにまん延防止措置も6月20日までの延長が決定し、厳しい状況が継続している飲食店に対して、自治体などが実施している支援をいくつか紹介します。

宮城県:飲食店に対して独自の認証制度で限定のプレミアム食事券発行も

宮城県は、飲食店に対する県独自の新型コロナウイルス感染症対策の認証制度の導入を5月27日に発表しました。

36項目にもなる基準を設けて飲食店の感染症対策を厳しくチェックする一方で、認証店でのみ使用できるプレミアム付き食事券「認証店おうえん食事券」を発行することも発表され、宮城県の村井知事は「感染対策と経済対策の両立」を強調しています。

また、店内の二酸化炭素濃度を計測するセンサーなど、認証に必要な機材をそろえるため5万円以上の経費がかかった場合、県から10万円を上限に補助がなされるとのことです。

  • 対象:宮城県内の飲食店(接待を伴う飲食店は対象外)
  • 金額:1万円(1万2,000円分の食事券)
  • 期間:販売は2021年7月中旬以降~11月15日、利用期間は2021年7月中旬以降~12月15日を予定

奈良県:飲食店や旅館に認証ステッカーで「感染対策にお墨付き」

奈良県は、客席のある飲食店や旅館に対する県独自の認証を5月31日より開始しました。

認証には3つの段階があり、感染拡大防止必須な53項目の基準を満たせば一つ星、それ以外にある12項目の達成具合によって二つ星、三つ星の段階が判断され、認証ステッカーが交付されます。

この認証を受けたことで、感染症対策に必要な設備などの購入費が補助されます。

飲食店では20万円を上限に購入費の3/4、旅館などの宿泊施設は規模に応じて75万〜750万円の範囲で購入費の3/4の補助となります。

5月に発表された飲食業関連のデータ紹介

ここでは、5月に発表された飲食業関連のデータを紹介します。

日本フードサービス協会、外食産業市場動向調査 4月度結果発表

一般社団法人日本フードサービス協会は5月25日、加盟会社を対象にした2021年4月度の外食産業市場の動向調査結果を発表しました。

それによると、4月は宮城県、大阪府、兵庫県を対象にまん延防止措置が5日に発令され、その後東京や京都府、沖縄県と対象が広がり、25日には3回目の緊急事態宣言が発令されたことによる酒類提供禁止など、特に酒を提供する飲食業にとって厳しい月となりました。

売上高は前年同月比では136.7%で14か月ぶりのプラスとなったものの、前年2020年4月は調査史上最悪の落ち込みだったため、コロナの影響がなかった前々年同月比では80.5%となりました。

酒類を提供する業態では前年2020年4月の飲酒業態は多く休業し事実上活動を停止していたことから「パブ・ビアホール」の売上高は前年同月比では584.2%、「居酒屋」は274.2%と大きな数値となりましたが、前々年同月比では「パブ・ビアホール」は24.8%、「居酒屋」は26.9%低迷が続いています。

ディナーレストラン業態では常連客による下支えや高単価のテイクアウト需要などによって売上高は前年同月比では296.4%となりましたが、酒類提供禁止の影響から4月下旬より失速し、前々年同月比では46.4%に留まっています。

外食産業市場動向調査 4月度 日本フードサービス協会
▲外食産業市場動向調査 4月度グラフ:日本フードサービス協会データより編集部作成

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外食売上 前年比136.7%、コロナ前との比較では80.5%にとどまる【2021年4月】

外食大手月次売上動向(口コミラボ編集部調査)

口コミラボ編集部では、大手外食チェーン30社のIR情報をもとに、月次売上高データをグラフに起こして比較、業態ごとに分析を行いました。

たとえば「ファストフード」業態ではマクドナルド、モスバーガー、KFCの3社で比較を行い、3社ともほぼ前年同月比100%以上を維持していますが、2021年4月ではKFCのみ前年同月比減となっています。これは1回目の緊急事態宣言下となった2020年4月にテイクアウト向けのキャンペーンを実施し、売上を大きく伸ばしたことに起因するものと考えられます。

また、「居酒屋」業態では大庄グループ、鳥貴族ホールディングス、ワタミ、JFLAホールディングスの4社のとも2020年4月以降低迷が続いていましたが、2021年4月では鳥貴族ホールディングスが前年同月比948.7%と大きく数字を伸ばしました。

全体として前年同月(2020年4月)に売上が大きく減少していた反動で、売上高・客数が大幅に伸長する傾向がみられています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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外食大手30社 月次売上高前年比まとめ【2021年5月版】

博報堂が「来月の消費予報・6月」を発表

広告代理店博報堂のシンクタンク・博報堂生活総合研究所は5月26日、20から69歳の男女1,500名へのアンケート調査による「来月の消費意欲」を点数化した、「来月の消費予報」の6月度調査結果を発表しました。

博報堂の6月の消費予報
▲来月の消費予報・6月:博報堂生活総合研究所

それによると、全体の消費意欲は45.2点で前月より-2.4点、前年同月比では-2.6点となり、両方の数値で低下しています。

例年6月は、5月の大型連休と7月の夏休みの間のために消費意欲が低下する傾向にありますが、コロナ禍の今年は前月比、前年同月比と共に消費意欲が低下し、6月としては過去10年のうちで最低値となります。

また、カテゴリ別の消費意向で「特に買いたいモノ・利用したいサービス」として回答した人数では、1位「ファッション:222人(前月より12人増)」、2位に「食品:206人(15人増)」、ついで3位に「外食:170人(増減なし)」という結果でした。

カテゴリー別消費意向でも16あるカテゴリのうち、前年比では「旅行「レジャー」などの外出に関連する5つのカテゴリで20人以上減少し、20人以上の増加が見られたのは「日用品」のカテゴリのみとなりました。

コロナ禍となってから1年以上も経過してコロナ収束もまだ見えず、長期化する自粛生活の中で例年以上に消費意欲が落ち込んでいることがわかりました。

しかし一方で、日常生活で必要度の高い食品や日用品に対する消費意向は堅調または維持されている傾向もうかがえます。

緊急事態宣言およびまん延防止措置の延長に継ぐ延長によって低下した消費意欲ですが、期限となっている6月20日で予定通り解除されれば、これまでの自粛生活に対する反動で消費が増えることも考えられます。

新型コロナウイルスの感染状況を今後も注視し、消費意欲を汲み取ることが重要だといえるでしょう。

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【関連リンク】
飲食業界動向まとめ アーカイブはこちら


<参考>
NHK NEWS WEB:政府 緊急事態宣言 4都府県5月31日まで延長と愛知 福岡追加を決定
NHK NEWS WEB:9都道府県の緊急事態宣言 来月20日まで延長を決定 政府
TableCheck公式ブログ:【週次更新】コロナ禍における飲食店の来店・予約件数推移 ※2021年6月1日更新
株式会社ワンダーテーブル公式サイト:【オービカ モッツァレッラバー】緊急事態宣言延長対策 朝食メニュー提供
PR TIMES:ワタミグループ全店 新型コロナワクチン2回接種で生ビール一杯無料!
産経新聞:認証店限定のプレミアム食事券発行へ 宮城県
朝日新聞:感染対策にお墨付き 県、飲食店に認証ステッカー交付
日本フードサービス協会:外食産業市場動向調査2021(令和3)年4月度結果報告
日本経済新聞:4月外食売上高、14カ月ぶりプラス コロナ前には届かず
博報堂:博報堂生活総研[来月の消費予報・2021年6月](消費意欲指数)

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この記事の筆者

口コミラボ編集部

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