高級マグロを低価格で提供、仲卸が飲食店支援/デリバリーのトラブル防止へ、UberEatsほか13社が協会設立【飲食業界動向まとめ 2021年3月】

延長されていた2回目の緊急事態宣言は、3月21日をもってすべての都道府県で解除されました。

飲食店への時短要請は4月21日まで延長されますが、1都3県の宣言解除後の飲食店への来店人数が、宣言下との比較で平均6割程度増加するなど、飲食店への客足が戻りつつあります。

本記事では、2021年3月の飲食業界の動向についてまとめます。

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3月の飲食業界動向

延長されていた緊急事態宣言がすべての都道府県で解除となったことや、卒業や入学、入社など季節のイベントに伴う外食の機会が増えたこともあって、緊急事態宣言解除後の飲食店への来店者数は回復傾向にあります。

ここでは、3月の飲食業界の現状についての報道とデータをまとめたものを解説します。

営業時間短縮要請、21時まで

2回目の緊急事態宣言は3月21日をもってすべての都道府県で解除されました。

しかし、緊急事態宣言に伴う飲食店への時短要請は解除とはならず、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県では営業時間を21時までとして4月21日まで、愛知県では名古屋市を対象に営業時間を22時までとして4月21日まで継続されます。

また、新型コロナウイルスの感染者が急増した山形県では、県独自の緊急事態宣言を3月22日に山形市、3月27日に寒河江市を対象に発令し、4月11日までの期間で飲食店への21時までの時短要請を行っています。

同様に感染拡大が見られている大阪府、兵庫県、宮城県の3府県では、緊急事態宣言に準じた措置を可能とする「まん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)」の適用を政府に要請し、4月5日から適用が開始となりました。

まん延防止措置の対象となる市町村は大阪市(大阪府)、神戸市・芦屋市・西宮市・尼崎市(兵庫県)、仙台市(宮城県)の6市で、飲食店への時短要請は20時までとなり、期間は5月5日までの1か月間を予定しています。

3月の各社報道からわかる飲食店の現状

3月は緊急事態宣言が解除されたり、東京以外の自治体で感染拡大によって再度飲食店へ時短要請が出された自治体があったりなど、大きな動きがありました。

大手報道機関は、飲食店への客足が戻ってきたことを喜ぶ声や、感染の拡大によって再度の時短要請となったことを嘆く声などさまざまな反応を報道しています。

以下に、一部を抜粋してまとめます。

居酒屋やバーが軒を連ねる東京・新橋。JR新橋駅近くの「BAR WESTERN」店主の佐藤潤二さん(71)は、「いつになったら日常が戻ってくるんだ」とため息をついた。昨年11月末以降は、東京都の要請に応じて閉店時間を午後10時に繰り上げ、1月からは休業した。宣言が解除されたことから、22日から店を再開したばかりだ。店には、常連客がキープしたまま1年以上が経ったウイスキーのボトルが並ぶ。「この酒を飲み切る日がくる前に、店を閉める日がきてしまうかもしれない」

大阪市以外での時短要請は、2月末の緊急事態宣言解除に合わせて全面解除されたが、わずか1か月で逆戻りすることになった。

堺市堺区の南海堺東駅前で居酒屋を経営する矢本憲久さん(50)は「せっかく客足が戻りだしていたのに……」とため息をついた。

1~2月の時短営業で、午前0時までの通常営業時と比べて売り上げが約6割減少したが、要請の解除で徐々に回復しつつあった。矢本さんは「春先の宴会需要に期待していたのに残念だ。感染状況を考えれば仕方ないが、何とか短期間で抑え込み、街に活気が戻ってほしい」と願った。

「暖かくなってきたからかな。少しずつお客さんが戻ってきたね」。栄地区で居酒屋を営む男性(47)は頬を緩ませる。政府の緊急事態宣言が解除され、最近は送別会とみられる数人の集まりが目立ってきた。1月にはコロナ前の3割ほどに落ち込んだ売り上げが7割ほどに回復。「正直、3月もだめだと思っていた。にぎわいが戻ってうれしい」と喜ぶ。

愛知県は独自の厳重警戒宣言を21日の期限で解除する一方、名古屋市内の酒類を提供する飲食店に限っては3月末まで時短要請を続ける。閉店時間は午後10時に繰り下げ、協力金は4万円から2万円に減額する。男性は「深夜まで営業した方がもうかると思うが、また感染者が増えたらみんなが困るもんね」と複雑な胸の内を明かした。

TableCheckの飲食店の来店・予約件数推移では

株式会社TableCheckは4月6日、自社データを元に2021年1月8日から4月4日までの集計データを公表しました。

それによると、4月5日からまん延防止措置の対象となる大阪府・兵庫県・宮城県の3府県では、1月8日から2月28日の緊急事態宣言期間と3月1日から4月4日までの宣言解除後の飲食店1店舗あたりの平均来店人数を比較すると、大阪府で81.5%増、兵庫県で92.7%増、宮城県では9.9%増となり、3府県すべてで増加していることがわかりました。

宮城県は2回目の緊急事態宣言の対象外だったこともあり、大阪府と兵庫県に比べて増加率は大きくなかったものの、新型コロナウイルス感染拡大防止策の緩和と、飲食店への来店人数の増加が関係していることがわかります。

また、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県では、1月8日から3月21日の緊急事態宣言期間と3月22日から4月4日までの宣言解除後の飲食店1店舗あたりの平均来店人数を比較すると、平均で約6割の増加という結果になりました。

3月にみられた飲食業界の取り組み

3月21日で緊急事態宣言はすべての都道府県で解除されましたが、時短営業は緩和して継続されるため、まだまだ飲食業界には厳しい状態が続きます。

そんな中、このコロナ禍を乗り切るためのさまざまな工夫や施策を取っている飲食店があります。

日本橋の24店舗、宴席料理の弁当を予約販売

東京の日本橋にある24の飲食店では、花見をテーマに宴席用の弁当「日本橋宴(うたげ)づつみ」の販売を行いました。

江戸時代から続く「うなぎ割烹大江戸」や洋食店「たいめいけん」などの有名店も参加し、新型コロナウイルスの感染拡大によって外食の機会が減ったなか、自宅などで宴席気分を楽しめるような弁当を提供するという施策で、各店舗5,600円で約1.5人前の弁当を専用サイトで予約販売しました。

同様の弁当販売は年末年始にも実施し、前回は8店の参加しで約1,500個を販売しました。

今年はお花見や歓送迎会での外食需要が減少しています。おうちで楽しめる弁当を販売することで、飲食店の売上確保につながります。

マグロ仲卸が飲食店支援のため、高級マグロを低価格で提供

神奈川県や東京都内ですし店「祭ずし」を展開する大商物産は、東京の豊洲市場のマグロ仲卸「大花」の協力を得て、3月下旬から国産天然クロマグロのすし食べ放題を税込2,000円で提供する企画を開始しました。4月18日まで開催される予定です。
祭ずし川崎店、マグロ仲卸の支援受け高級マグロの食べ放題実施
▲祭ずし川崎店、マグロ仲卸の支援受け高級マグロの食べ放題実施:Instagramより

Instagram:祭ずし川崎店 @matsuri_kawasaki の投稿

祭ずしの「緊急事態宣言の解除を機に、おいしいマグロを安く、たくさん食べてもらいたい」という思いに対し、大花が「コロナ禍で厳しい経営を続ける寿司店を応援したい」と応え、豊洲で競り落とした高級マグロを採算度外視で納品することで低価格での食べ放題が実現しました。

制限時間2時間で、大トロや中トロ、赤身などこれまで40個以上食べた客もいたということです。

こうしたキャンペーンは店舗や商品の認知度向上にもつながり、これを機に来店した顧客がリピーターとなれば、長期的な売上も向上すると考えられます。

コロナ禍で飲食業界・関連業界が苦境に陥るなか、取引先同士で助け合う取り組みだといえるでしょう。

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3月に始まった飲食業向け支援

続く時短要請などで厳しい経営状態にさらされている飲食店に対して、民間企業や自治体などが応援キャンペーンや支援施策などを行っています。

ここでは3月に見られた支援をいくつか紹介します。

飲食店のサブスク導入を支援「favyサブスク」

食マーケティング総合企業のfavyは3月29日に、コロナ禍での飲食店応援キャンペーンとして「favyサブスク」の初期費用とシステム利用料を2か月間無償で提供することを発表しました。

「favyサブスク」とは月額定額制のコーヒースタンドなど、サブスクリプション(定額制)を取り入れている飲食店向けに提供する顧客管理ツールで、顧客から定額会員費の支払いを受け、店舗側が特典や割引を提供することで、集客を支援するサービスです。

この無料キャンペーンは2021年6月30日まで受付予定です。

宮崎県が選ぶ人気飲食店100店を紹介する「ジモミヤめし」

宮崎県は、コロナ禍で苦境にある地元の飲食店を応援するために、宮崎県民がお薦めする飲食店を100店舗を紹介するガイドブック・Webページ「ジモミヤめし」を作成・公開しました。

県民からの1万6,675票もの投票から選ばれた人気の100店舗とその看板メニューを紹介しており、宮崎県ではこのガイドブックを10万部作成して宮崎空港や道の駅などで無料配布しています。

また、ジモミヤめし公式サイトは現在日本語のほかに中国語と韓国語に対応していますが、今後英語にも対応する予定とのことです。

フードデリバリーサービス協会設立

コロナ禍で飲食店は苦しい状況が続いているなか、出前館やUber Eatsなどのフードデリバリーサービスの需要が高まっています。

そういった中で出前館は3月3日、フードデリバリーサービスを提供するUber Eats Japanやmenu、ライドオンエクスプレスホールディングス、楽天などと共同で「一般社団法人日本フードデリバリーサービス協会(Japan Food Delivery Service Association:以下、JaFDA)」を設立したことを発表しました。

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配達時のトラブル防止に向けた有効な施策を検討

フードデリバリーサービスは需要の高まりとともに、配達員の配達時のトラブルやそれらに対する補償などの整備の不十分さが、たびたび問題として報じられていました。

JaFDAでは、配達員に向けたルール遵守に関するコンテンツを制作し、交通ルール違反や交通トラブルの削減を図っていくほか、配達時のトラブル防止に向け有効な施策や補償のあり方を含めた基本的な業界指針を定めていくとしています。

安心・安全にフードデリバリーサービスを利用できる環境を整備、提供することで、今後のフードデリバリーサービス利用者の増加と業界発展を実現していくとのことです。

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3月に発表された飲食業関連のデータ紹介

ここでは、3月に発表された飲食業関連のデータを紹介します。

日本フードサービス協会、外食産業市場動向調査 2月度の結果を発表

一般社団法人日本フードサービス協会は3月25日、加盟会社を対象にした2021年2月度の外食産業市場の動向調査結果を発表しました。

それによると、2回目の緊急事態宣言が延長された2月の飲食業界全体の売上高は、前年度同月比77.7%となり、先月1月の前年度同月比79.0%からさらなる落ち込みを見せています。

「ファストフード」の売上高が前年度同月比91.3%と先月の98.6%よりも下がったものの、ハンバーガーなどの「洋風」は売上高101.5%、客単価114.4%と引き続き好調が続いています。

一方で、緊急事態宣言の延長とそれに伴う飲食店への時短要請の影響から、「パブ・ビアホール」は24.1%、「居酒屋」は30.5%となり、駅前などの繁華街にある店舗では特に苦戦が続いているようです。

なお、飲食店全体の客単価は101.1%と11か月連続で前年度同月比よりもプラスの状態となり、外出自粛で支出が減ったことなどに起因する「プチ贅沢」ニーズが続いています。

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帝国データバンク、上場企業(外食産業)の月次売上高動向調査(2021年2月分)発表

帝国データバンクは3月31日に、2021年2月度の飲食業の上場企業66社についての月次売上高動向調査の結果を発表しました。

それによると、2021年2月の全店売上高が前年同月を上回ったのは7社(構成比10.6%)のみで、売上高が下回った59社(89.4%)のうち16社(24.2%)では売上高が50%以上減少したという結果となりました。

また、1月と2月の2か月連続で売上高が前年同月よりも下回った58社のうち、1月よりも減少幅が広がったのは13社(22.4%)で、減少幅が縮小したのは44社(75.9%)となりました。

売上の減少は続いているものの、減少の勢いはゆるやかになる傾向がみられます。

博報堂が「来月の消費予報・4月」を発表

広告代理店博報堂のシンクタンク・博報堂生活総合研究所は3月26日、1,500名へのアンケート調査による「来月の消費意欲」を点数化した、「来月の消費予報」の4月度調査結果を発表しました。
来月の消費予報・4月:博報堂生活総合研究所
▲来月の消費予報・4月:博報堂生活総合研究所

それによると、全体の消費意欲は47.7点で前月より1.2点のプラスとなり、前年同月と比べても2.4点のプラスとなり、4月としては過去5年の内で最高値となりました。

また、カテゴリー別の消費意向で「特に買いたいモノ・利用したいサービス」として回答した人数では、1位「ファッション:246人(前月より42人増)」、2位に「外食:198人(33人増)」、ついで3位に「食品:176人(5人減)」という結果となりました。

緊急事態宣言の解除や新型コロナウイルスのワクチン接種などからのコロナ禍収束への期待とともに、新年度や新学期などの区切りとして気持ちを一新させる消費への意欲が高まっているとみられます。

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<参照>
日本経済新聞:1都3県、時短営業4月21日まで継続へ調整
ーー大阪府の時短要請、4月21日まで延長へ 兵庫も継続方針
ーー愛知、4月21日まで時短要請継続 東京・大阪と足並み
山形県公式サイト:新型コロナウイルス感染症に関連するポータルサイト
日本経済新聞:大阪府「まん延防止措置」を政府に要請 対象は大阪市
TableCheck公式ブログ:【週次更新】コロナ禍における飲食店の来店・予約件数推移 ※2021年4月6日更新
日本経済新聞:東京・日本橋の飲食24店、宴席料理の弁当販売
JIJI.COM:高級マグロ食べ放題を後押し 宅配可の生鮮食品店開業も―豊洲仲卸
PR TIMES:新たな取組みにチャレンジする飲食店を応援!「favyサブスク」2ヶ月間無償提供キャンペーンを実施
朝日新聞:県民投票で選ばれた飲食店100店舗を紹介
ジモミヤめし:公式サイト
出前館公式サイト:一般社団法人日本フードデリバリーサービス協会(JaFDA) 設立のお知らせ
日本フードサービス協会:外食産業市場動向調査2021(令和3)年2月度結果報告
帝国データバンク:上場企業(外食産業)の月次売上高動向調査(2021年2月分)
博報堂:博報堂生活総研[来月の消費予報・2021年4月](消費意欲指数)

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この記事の筆者

口コミラボ編集部

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