「一時支援金」きょう3月8日から申請受付開始。売上減少した事業者向け支援:飲食業界動向まとめ【2021年2月】

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2021年1月7日に発令された2回目となる緊急事態宣言は、当初1か月の期間が見込まれていましたが、感染拡大状況に鑑みて、6府県で2月28日、1都3県で3月21日まで延長されました。

これに伴い、飲食店への営業時間短縮の要請(以下、時短要請)も延長となり、飲食業界における厳しい状況は続いています。

そんな中、3月8日から「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」の申請受付が開始されました。政府・自治体による民間支援が続けられています。

本記事では、2021年2月の飲食業界の動向についてまとめます。

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2月の飲食業界動向

2021年2月の飲食業界は、1月に引き続いて緊急事態宣言とそれに伴う時短要請が延長となり厳しい状態が続いています。

ここでは、コロナ禍における2月の飲食業界の現状についての報道とデータをまとめます。

飲食店に向けた営業時間短縮要請が延長

1月7日に発令された2回目となる緊急時短宣言では、11都府県(東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木・岐阜・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡)が対象となり2月7日が期限とされていましたが、2月2日、栃木を除く10都府県で3月7日まで延長されました。

これに伴い、飲食店の営業時間を5時〜20時、酒類の提供を19時までとする時短要請も同様に延長されることとなりました。

その後、岐阜・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡の6府県では2月28日をもって解除されました。一方、飲食店への時短要請は解除後1〜3週間の期限を設け、営業時間を5時〜21時までとするなど緩和して引き続き行われています。

また、3月5日には東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県に対し、緊急事態宣言を3月21日まで延長することが発表されました。時短要請は現時点では緩和せず、夜20時まで(酒類の提供は19時まで)となっています。

2月の各社報道からわかる飲食店の現状

緊急事態宣言と時短要請の延長を受け、現場の悲痛な声が報道されています。

時短要請への協力金だけでは足りず、違反となってでも夜間の営業を続けたいというものや、一律での金額ではなく事業規模などの実態に沿った補償を求めるものがありました。

以下に、一部を抜粋してまとめます。

 飲食店でつくる県飲食業生活衛生同業組合の入江眞弘理事長(64)も「規模によって売り上げや固定費が違うのに、同額はおかしい」と指摘。「確定申告の年間売り上げや所得を参考にするなど、実態に沿った補償を」と求める。

 チェーン店からは、より手厚い補償を訴える声が相次ぐ。

全国で約30店を展開する居酒屋チェーン、ワールド・ワン(神戸市中央区)は、宣言再発令後に約10店を休業し、アルバイト従業員を休ませた。「協力金があったから休業を決断できた」とする半面、「助成金や融資も使って、ぎりぎりの状況。規模に応じた支援が望ましい」と語る。

 JR上野駅(東京都台東区)近くの商店街にあるもつ焼き屋はこの日、午後8時を過ぎても多くの客でにぎわっていた。

路上にテーブル席が並べられ、若者らがジョッキを傾ける。エリアマネジャーの男性(35)は「従業員の生活を守るためには、営業を続けるしかない」と言い切る。

店の家賃は月約180万円。従業員は近くにある系列2店舗と合わせて約30人おり、人件費は月700万円を超える。都の協力金では家賃分にしかならず、系列2店舗は休業させたが、1店舗のみ午後11時半まで店を開けている。

京都市東山区のしゃぶしゃぶ料理店「十二段家(だんや)」は午後8時までの時短営業などで、予約が週1組ほどに減っている。
宣言解除後、午後9時まで延長するが、調理責任者の西垣大さん(49)は「終息するまで、お客さんの自粛傾向は変わらない。宣言を出したまま、より多くの協力金をもらえる方がありがたい」とぼやいた。

飲食店の5.7%が「閉店を検討中」という調査結果も

株式会社シンクロ・フードが運営する「飲食店リサーチ」は、飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)595名を対象にアンケートを行いました。

それによると、今後の飲食店の営業について、「従来のまま営業を継続する」との回答が79%と最も多いものの、ついで「業態の変更を検討中(14.1%)」「業態の変更をした(6.1%)」との回答が続き、コロナ禍で従来とは違った業態への変化が求められている現状が反映される結果となりました。

また、「閉店を検討中(5.7%)」「閉店した(2.5%)」との回答もあり、コロナ禍での厳しい経営状況がうかがえます。

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TableCheckの飲食店の来店・予約件数推移:宣言後50.1%の減少…テイクアウトは1月の1.2倍に

株式会社TableCheckは3月2日、運営する飲食店予約顧客管理システム「TableCheck」のデータをもとに、「2021年2月の飲食店の来店・予約件数推移」を発表しました。

飲食店の平均来店人数について、2回目の緊急事態宣言前の22時までの営業時では35.5人でしたが、2回目の緊急事態宣言後の20時までの時短営業時では17.7人となり、宣言前と比較すると50.1%の減少となりました。

このことから、飲食店の営業を「20時まで」とした厳しい時短営業は、飲食店への客足に大きく影響していることがわかります。

一方、2021年2月の飲食店の1店舗あたりのテイクアウト注文件数は4.3件で、前月(1月)比では1.2倍となりました。

コロナ禍での外出自粛や新たな生活様式への適応から、飲食店への来店人数が減る一方、緊急事態宣言下ではテイクアウトの需要が伸び続けているという結果になりました。

2月に始まった時短要請を乗り切る飲食店の工夫

2月7日が期限とされていた2回目の緊急事態宣言が1か月延長されることとなり、時短営業も継続されるため、飲食業界ではまだしばらく厳しい状態が続きます。

そんな中、できる範囲で工夫を凝らし、このコロナ禍を乗り切ろうとしている飲食店もあります。

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利益度外視の食べ放題がSNSで話題に

西新宿の海鮮居酒屋「俺の魚を食ってみろ」では、飲食店の来店客と仲卸とのつながりを切らさないために、利益度外視にした「カニ・すし食べ放題(3,500円・税別)」の実施を始めました。

するとSNSを中心に話題となり、想定以上に来店客から支持を得て店舗の利益につながったといいます。

この反響を受け、もう一店舗の神田店でも食べ放題の実施が決定しました。

看板・客席のない「ゴーストレストラン」

デリバリー需要の伸びや、開業の初期費用が通常店舗の2割程度というコスト低さもあり、看板や客席のない宅配と持ち帰りに特化した「ゴーストレストラン」の開業が相次いでいます。

サガミホールディングス>

  • 和食ファミリーレストラン「味の民芸」のメニューを中心にした宅配専門店を練馬区にオープン

<ジェイグループホールディングス>

  • 休業中の店舗を活用して居酒屋「芋蔵」や「餃子の王道」、タイ料理の「魅惑のガパオ食堂」など19種類のデリバリー専用のゴーストレストランを展開

2月に公表された飲食業関連の支援

1月7日から発令された緊急事態宣言と、それに伴う飲食店への時短要請などで厳しい経営状態にさらされている飲食店やその関連業界に向けて、支援や支援金の受付が開始されています。

東京都の時短協力金は2月22日から申請受付開始

東京都では、2021年1月8日から2月7日にかけての中小の飲食店に対する時短協力金の申請を2月22日から開始しています。

また、今回より東京都の支援対象となった大企業の飲食店に対する時短協力金は3月1日から申請を受け付けており、どちらも申請期限は2021年3月25日までとなります。

時短要請を行なっているそれぞれの自治体で申請受付開始日と期限は違っていますので、自店舗のある自治体の申請手続きとその期限について確認することが重要です。

申請は、以下ページから受け付けています。

「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」、3月8日から申請受付開始

2021年2月10日に公表された「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」は、2021年1月に発令された2回目の緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や、外出・移動の自粛などによって売上が50%以上減少した中小の事業者や個人事業者を対象にした給付金で、3月8日より申請の受付が開始されました。

この給付金は、時短協力金の対象となっていない昼営業の飲食店や、時短要請対象の飲食店商品を提供している生産者や食品加工業、器具・備品の製造業などの事業者で、2021年1月から3月の売上が前年比や前々年比で50%以上減少した事業者が対象となっています。

<給付額>

  • (2019年または2020年の対象期間の売上合計額-2021年の対象月の売上額)×3か月
  • 上限:中小の事業者60万円、個人の事業者30万円

申請は、以下公式サイトから受け付けています。

2月に発表された飲食業関連のデータ紹介

ここでは、2月に発表された飲食業関連のデータを紹介します。

日本フードサービス協会、外食産業市場動向調査 1月度結果発表

一般社団法人日本フードサービス協会は2月25日、加盟会社を対象にした2021年1月度の外食産業市場の動向調査結果を発表しました。

それによると、2回目の緊急事態宣言が発令された1月の飲食業界全体の売上高は、前年度同月比79.0%となり、2020年12月の前年度同月比84.5%からさらなる落ち込みを見せています。

特に宣言対象地域では、飲食業態間での格差が広がり、「ファストフード」の売上高が前年度同月比98.6%と堅調で、さらにハンバーガーなどの「洋風」の店舗では112.2%と売上高が大幅に増えているのに対して、酒類提供が19時までと制限された「パブレストラン/居酒屋」では25.1%と激減し、時短要請下での厳しい営業状態がうかがえます。

一方で、全体の客単価は前年度比101.1%と上がっていることから、外食の頻度が減って1回の支出に対する「プチ贅沢」ニーズが続いていることがわかります。

帝国データバンク、上場企業(外食産業)の月次売上高動向調査(2021年1月分)発表

帝国データバンクは2月26日に、2021年1月度の飲食業の上場企業66社についての月次売上高動向調査の結果を発表しました。

それによると、2021年の全店売上高が前年同月を上回ったのは6社(構成比9.1%)のみで、売上高が下回った60社(90.9%)のうち19社(28.8%)では売上高が50%以上減少したという結果となりました。

また、2020年12月と2021年1月との2か月連続で前年同月よりも売上高が下回った58社のうち、12月よりも減少幅が広がったのは54社ともなり、2回目の緊急事態宣言の発令と飲食店への時短要請の影響により、より厳しい状況が続いていることがうかがえます。

博報堂が「来月の消費予報・3月」を発表

広告代理店「博報堂」のシンクタンク博報堂生活総合研究所が2021年2月26日に、20代から60代の男女1,500人を対象に「来月の消費意欲」を点数化した「来月の消費予報」の3月度調査結果を発表しました。

それによると、全体の消費意欲は46.5点で前月より4.8点のプラスとなり、前年同月と比べても1.4点のプラスとなりました。

来月の消費予報 2021年3月 博報堂生活総研
▲来月の消費予報・2021年3月:博報堂生活総研

3月は季節・年度の変わり目でイベントが多くなるうえ、コロナ禍での自粛の反動として消費意欲が高まっていくのではないかと予想されます。

また、カテゴリー別の消費意向で「特に買いたいモノ・利用したいサービス」として回答した人数では、1位「ファッション:204人(前月より97人増)」、2位に「食品:181人(31人増)」、ついで3位に「外食:165人(51人増)」という結果となりました。

3月は消費意欲増、外食需要にも期待

2021年2月の飲食業界は、1月からの緊急事態宣言とそれに伴う時短要請が延長されたこともあり、飲食店では引き続き厳しい月となりました。

一方で、テイクアウトデリバリーは好調となり、1回の外食に対する客単価が前年比で上がっていて「プチ贅沢」ニーズは引き続いて堅調となっているなど、飲食業の中でも業種や業態による格差が浮き彫りになりました。

3月は年度変わりの行事やイベントが多く、消費者の消費意欲も高くなることが予想されます。首都圏以外では3月より緊急事態宣言が解除され、首都圏でも3月21日をもって解除が予定されているため、これまでの自粛の反動として、飲食を含めた消費の高まりが期待されます。

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<参考>
NHK NEWS WEB:緊急事態宣言解除の6府県 引き続き感染防止対策呼びかけ
朝日新聞:緊急事態宣言、3月7日まで延長 首相「はっきり効果」
日本経済新聞:緊急事態解除の6府県、時短要請は夜9時までに緩和
PR TIMES:時短要請が続く外食業界、飲食店の5.7%が閉店を検討中。改正特措法に不満の声も
TableCheck公式ブログ:【週次更新】コロナ禍における飲食店の来店・予約件数推移 ※2021年3月2日更新
PR TIMES:つながりを見出せ!生産者・仲卸支援のムーブメント広がる!3500円カニと寿司の食べ放題の実施店舗拡大決定!
日本経済新聞:苦肉の外食、席なし「ゴースト店」に活路 宅配向け
緊急事態宣言に伴う営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金のご案内-中小事業者向け−:公式サイト
緊急事態宣言に伴う営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金のご案内-大企業向け−:公式サイト
緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金:公式サイト
日本フードサービス協会:外食産業市場動向調査2021(令和3)年1月度結果報告
帝国データバンク:上場企業(外食産業)の月次売上高動向調査(2021年1月分)
博報堂:博報堂生活総研[来月の消費予報・2021年3月](消費意欲指数)

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    口コミラボ編集部

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