2020年 小売業倒産は「最少」巣ごもり需要・政府支援効果で:小売業界動向まとめ【2021年1月】

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2月2日、1月7日に発令された2回目となる緊急事態宣言について、10都府県での延長が発表されました。外出自粛が長引く中、小売業界においても厳しい状況が続いています。

本記事では、2021年1月の小売業界の動向についてまとめます。

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緊急事態宣言下で自主的な時短相次ぐ…2021年1月の小売業界動向

2021年1月の小売業界は、緊急事態宣言に伴う外出自粛の影響に翻弄されることとなりました。

ここでは、小売消費のデータや各企業の動向などをまとめます。

12月後半はプラス2.7%だった小売消費、1月前半はマイナス8.7%に

JCBとナウキャストは、JCBカードの利用情報をもとに、消費動向指数「JCB消費NOW」を公表しています。

それによると1月前半の消費動向指数は、前年同月比で「旅行」が-70.8%、「外食」が-46.3%だったほか、「小売」も-8.7%に落ち込みました。

12月後半の「小売」消費指数は前年同月比+2.7%だったことから、緊急事態宣言の影響が大きいものとみられます。

緊急事態宣言下の小売業界:自主的な時短相次ぐ

緊急事態宣言を受け、営業時間短縮が要請されていない小売店においても自主的に時短営業を実施するところがみられました。

1月10日付の朝日新聞の報道によれば、埼玉県内の商業施設「浦和パルコ」「そごう大宮店」「イオンモール」などで営業時間を19〜20時に短縮したということです。

また1月16日付の産経新聞の報道によれば、大阪市内の商店街で多くの小売店が自主的に営業時間を短縮していますが、飲食店と違い補償がないとして支援を求める声が上がっているといいます。

多くの都道府県で時短営業が要請されている飲食業界はもちろんのこと、小売業界でも時短営業に伴う行政の支援が必要とされているようです。

小売業界 各企業の動向:ヤオコーが新業態展開へ/ヨドバシ、コーナンは店舗拡大

ここでは小売業界における各企業の主な動向をまとめます。

ヤオコーが新業態展開へ>

食品スーパー大手のヤオコーは1月18日、連結子会社「株式会社フーコット」の設立を発表しました。詳細は明らかになっていませんが、スーパーマーケット事業の中で新業態を展開するものとみられます。

<2023年春、ヨドバシが仙台で大型百貨店建設>

家電量販店大手・ヨドバシカメラを展開するヨドバシホールディングスは1月26日、仙台駅東口の『ヨドバシ仙台第1ビル開発計画』の建設に着手したと発表しました。

仙台市で2019年7月から「都心再構築プロジェクト」が進められているなど、都市開発の機運が高まっていることを受けたものということで、2023年春から竣工予定としています。

コーナン商事がベトナムで店舗拡大>

ホームセンター大手・コーナン商事の子会社であるコーナン ベトナムは1月18日に「コーナンジャパン ビエンホアビンコム店」、1月22日に「コーナンジャパン レタントンパークソン店」をオープンしました。

12月には6店舗目をオープンしており、これでベトナム国内のコーナンは8店舗となります。

以下記事でも触れたように、コーナンは競合・カインズとともに好調を維持しており、今後の動向に注目が集まります。

コロナ禍の「ホームセンター」消費動向は?カインズ・コーナンが支持される理由

目次ホームセンターの需要の変化利用者は全体の60.4%外出自粛でDIY・園芸ブームカインズ・コーナンが支持される理由ホームセンターの需要の変化ソフトブレーン・フィールド株式会社は、アンケートモニター「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy (R)」から、コロナ禍における「ホームセンター」の消費者行動分析を行いました。同調査は、2020年1月7日~11日に実施され、ホームセンターの利用についてPOB会員3,788人の回答をまとめています。▲「ホームセンター」の消費者行動...

海外の企業動向:米・ロクシタン破綻

1月26日、フランスの化粧品メーカー・ロクシタングループの米国法人であるロクシタンU.S.が、米連邦破産法第11条の適用を裁判所に申請したことがわかりました。

元々売上減少の兆候があり、新型コロナウイルスの流行でさらに業績が悪化した結果だということで、日本での事業に影響はないとしています。

新型コロナウイルスの影響により、大企業でも破綻に追い込まれる可能性があるというのが現状だといえるでしょう。

2020年の小売業倒産件数、30年間で最少:1月に発表された小売業関連のデータ紹介

ここでは、2020年の総括や2021年の予測など、1月に発表された小売業関連のデータを紹介します。

東京商工リサーチ、「小売業の倒産動向」調査 2020年(1-12月)発表

東京商工リサーチは1月29日、2020年年間の「小売業の倒産動向」調査の結果を発表しました。

それによると、2020年の小売業倒産は1,054件で、前年比14.3%減、1991年以降の30年間で最少だったということです。

小売 倒産 推移
▲「小売業の倒産動向」推移:東京商工リサーチ調べ

2019年〜2020年1-3月期は人件費の上昇や消費税増税の影響で倒産が急増していましたが、新型コロナウイルスの影響で"巣ごもり"需要が生まれたことや、政府の支援策が功を奏したことにより、2020年4-7月期からは「飲食料品小売業」を中心に倒産件数が大幅に減少しています。

一方飲食業では2020年の倒産件数が過去最多となっており、"新しい生活様式"に適応した業態であるか否かが明暗を分けることとなりました。

JCB、ナウキャストが「JCB消費NOW」による2020年消費動向総括を発表

JCB、ナウキャストは1月27日、先述した「JCB消費NOW」を用い、2020年の消費動向を総括した結果を発表しています。

前年比の割合のグラフをみると、小売業界では「スーパー」が1年を通して堅調でしたが、「コンビニエンスストア」は10月からマイナスに転じました。

百貨店」は1回目の緊急事態宣言における落ち込みから回復傾向にあるものの、年間を通してマイナスのままとなっています。

小売 消費 推移
▲「JCB消費NOW」小売の推移:JCB、ナウキャスト調べ

※出所:JCB/ナウキャスト『JCB消費NOW』

百貨店、コンビニなど実店舗で消費が落ち込む一方、ECは拡大しています。

「アパレル」や「医療品・化粧品」は、実店舗での売上減少分をECの伸びが上回りました。「飲食料品」も、実店舗での売上減少分をECで一定程度カバーしたようです。

EC 売上 増加 グラフ
▲「JCB消費NOW」ECの変化:JCB、ナウキャスト調べ
※出所:JCB/ナウキャスト『JCB消費NOW』

2020年の消費動向を総まとめ!10月「GoToEat」で居酒屋伸び/EC業界は堅調(JCB、ナウキャスト調査)

目次JCB消費NOWを用いた消費動向調査サービス消費はコロナ禍で翻弄堅調に伸びるEC業界JCB消費NOWを用いた消費動向調査株式会社ジェーシービー(以下、JCB)と株式会社ナウキャストは、「JCB消費NOW」(JCBカードの取引データを活用した国内消費指数)を用い、2020年を総括した消費動向を1月27日に発表しています。▲「JCB消費NOW」2020年の総括:株式会社Finatextホールディングスプレスリリースよりサービス消費はコロナ禍で翻弄2020年は、3月から5月にかけて新型コロナ...

CI&T、小売業界における2021年のトレンド予測を発表

CI&T株式会社は1月8日、Retail Industry LeadであるMelissa Minkowが発表した記事の和訳版を公開しました。

記事内では、2021年の小売業界について以下の4つのトレンドを予測しています。

  1. サステナビリティ(持続可能性)の大きな飛躍
  2. ファスト・ファッションに衰退の兆し
  3. オンラインとオフラインの融合
  4. 期待を超えることで得られるチャンス

サステナビリティ(持続可能性)の大きな飛躍>

Minkow氏は、二酸化炭素排出量の削減などサステナビリティの取り組みは2021年も引き続き活発となるだろうと予測します。

しかし課題として、多くの大手企業はサステナビリティ戦略において何を具体的に行っていくのか明らかにしていない現状があるということです。

<ファスト・ファッションに衰退の兆し>

2020年はサステナビリティへの関心向上と、不況による支出控えから、ファスト・ファッション(アパレルのなかでも、流行を重視した低価格なブランドや業態のこと)に衰退の兆候がみられたといいます。

今後消費者は購買に対してより慎重になり、汎用性の高い高品質な商品への購買意欲が増えていくとMinkow氏は予想しています。

<オンラインとオフラインの融合>

2020年には、オンラインで注文し実店舗商品を受け取るスタイルが広まりました。

2021年以降、この「オンライン注文&実店舗受け取り」に対するニーズはさらに増え、ECプラットフォームやWebサイトの付加価値を高めることが必要となるとMinkow氏は指摘します。

<期待を超えることで得られるチャンス>

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大などで多くの「我慢」を強いられたことから、2021年は「高品質かつ素早いサービスを提供できるブランド」が強くなると考えられます。

Minkow氏はそのようなブランドの例として、「注文したその日のうちに荷物を受け取れる」「配送荷物を自宅まで取りに来てくれる」といった特徴を挙げています。

博報堂が2月の消費予報を発表

では、最後に2月の消費予測を紹介します。

博報堂のシンクタンク・博報堂生活総合研究所は1月26日、「来月の消費予報・2021年2月」を発表しました。

それによると、2月の消費意欲指数は41.7点で、前月比ではマイナス6.9ポイントとなる予測です。ただし2月は1年のうちで消費が落ち込む時期であり、前年比では0.3ポイントのプラスとなります。

小売業界に関連するデータとしては、「ファッション」の消費意欲が前月比・前年比ともに減少傾向にあります。全体として外出が必要な消費に対する意欲が減少する傾向にあるためのようです。

2月 消費予報 博報堂
▲2021年2月の消費予報:博報堂生活総研調べ

緊急事態宣言が延長される中、今月2月の消費意欲も落ち込みがちで、小売業界は厳しい状況が続くことが予測されます。ECプラットフォームの活用など、"新しい生活様式"への適応が引き続き求められることになりそうです。

博報堂が「来月の消費予報」発表:2月の消費意欲指数は平年並み

目次博報堂生活総合研究所が「来月の消費予報・2月」を発表消費意欲指数は41.7ポイント、前年比プラスにネガティブ回答とコロナ禍の影響博報堂生活総合研究所が「来月の消費予報・2月」を発表株式会社博報堂のシンクタンク博報堂生活総合研究所は、消費の先行きを調査する「来月の消費予報・2月」を1月26日に発表しました。20~69歳の男女1,500名を対象に消費意欲を点数化してもらい、分析を行っています。この調査によれば、2月の消費意欲指数は例年並みですが、イベントなどでコロナ禍の影響が続いているよう...


<参考>

NHK NEWS WEB:クレジットカードでみる消費動向 1月前半も悪化 コロナ影響

朝日新聞:商業施設なども自主的な時短相次ぐ

産経新聞:商店街、小売店、レストラン・・大阪市内の来店客は減少 緊急事態宣言後、初の週末 行政の支援態勢には批判強まる

ヤオコー:連結子会社設立に関するお知らせ

ヨドバシホールディングス:ヨドバシ仙台第1ビル開発計画 事業計画が決定いたしました

DIAMOND Chain Store:コーナン商事がベトナムで新規2店舗を出店

ーーコーナン商事がベトナムに6店舗目をオープン、イオンモール内に出店

WWD JAPAN:追記:ロクシタンの米国法人が破産法申請 日本事業は継続

東京商工リサーチ:「小売業の倒産動向」調査 2020年(1-12月)

ナウキャスト:【プレスリリース】新型コロナ国内確認から1年。「JCB消費NOW」による2020年消費動向総括

PRTIMES:CI&T、小売業界における2021年のトレンド予測を発表

博報堂:博報堂生活総研[来月の消費予報・2021年2月](消費意欲指数)

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