2021年、飲食店は「ハレの日」需要をつかめ:コロナ禍データを分析してわかった起死回生のための3つのポイント

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飲食店向け予約、顧客管理システム開発企業のテーブルチェックは2020年12月21日、2020年の飲食業界を振り返り2021年の飲食業界を予測する調査「TableCheckデータ大全リリース 2020-2021」を発表しました。

この調査からは、新型コロナウイルスの流行により世相が著しく変化するなかで飲食業界が受けた影響と、新型コロナウイルスの流行前後で変化した消費者の動向がわかります。

今回の記事では「TableCheckデータ大全」をはじめとするいくつかの調査を分析し、ウィズコロナ時代となった2021年の世界で飲食店が成長するために必要な対策について解説します。

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2021年、コロナ禍を生き延びるために飲食店が押さえておきたい3つのキーワード

まずはテーブルチェックの調査から、2020年から現在に至るまでの来店客数を見てみます。

来店件数週平均と新規陽性者数(週次)の推移をグラフ化
▲来店件数週平均と新規陽性者数(週次)の推移:テーブルチェック調べ
緊急事態宣言期間中の前年同期比1店舗当たりの平均来店人数をグラフ化
▲緊急事態宣言期間中の前年同期比1店舗当たりの平均来店人数:テーブルチェック調べ

新型コロナウイルスの流行以降、飲食店の来店客数は急激に減少していました。

なかでも、2020年4月16日から同5月25日までの緊急事態宣言の期間中には1店舗当たりの平均来店人数が6.0人まで減少しました。

この来店人数を前年同期と比較すると、90.6ポイント減少したことになります。

その後、Go To Eat キャンペーンの後押しもあり回復率は概ね上向きだったものの、2020年12月には新型コロナウイルスの流行第3波が始まりました。

2回目の緊急事態宣言が発令された2021年1月8日から同1月17日現在までの期間、1店舗当たりの平均来店人数は21.4人まで減少しています。

この来店人数を前年同期と比較すると、60.4ポイント減少したことになります。

しかし、調査を分析した結果、コロナ禍においても「ハレの日」「少人数」「リピーター」については根強い来店需要が残っていることがわかりました。

それぞれのデータと特徴について、以下で詳しく解説します。

1. 「ハレの日」は外食需要が増加傾向に

テーブルチェックの調査では、2019年と2020年の総来店件数に占める利用目的ごとの割合を比較しました。

利用目的別の来店件数に占める比率平均を2019年と2020年で比較しグラフ化
▲利用目的別の来店件数に占める比率平均を2019年と2020年で比較:テーブルチェック調べ

その結果、2020年は昨年と比較して記念日、デート、家族会食の3目的が占める割合が増加しており、それ以外の5目的は軒並み減少していることがわかりました。

最も増加率が高かったのは「記念日」で、2019年から2020年で16.3ポイント増加しました。

2番目に増加率が高かったのは「デート」で同じく14.2ポイント増加、3番目に増加率が高かったのは「家族会食」で同じく7.9ポイント増加となっています。

同時に、知人との会食、社内での会食、接待、歓送迎会、忘年会の5目的が占める割合は軒並み減少しています。

なかでも特に最も減少率の高かった「忘年会」は昨年と比較して39.1ポイントにわたり減少していました。

記念日、デート、家族会食は全て「ハレの日」に属するものといえます。

誕生日や結婚記念日などの特別な日や恋人とのデート、家族全員が集まっての会食は特別なものであり、外出を控えるようになっても根強い需要が続いています。

2. 「少人数」の客層に注目を

2020年の飲食業界は来店客数こそ大幅に減少したものの、前述したように「ハレの日」に外食に行く客層が来店客数に占めるは増加したため、客単価の上昇が見られました。

日本フードサービス協会が2020年11月に発表した外食産業市場動向調査によると、飲食業界全体の客単価は前年同月と比較して5ポイント上昇しています。

なかでも、ハレの日に利用されることの多い洋風レストラン客単価は3.2ポイント和風レストラン客単価は3.6ポイント中華レストラン客単価は6.4ポイントそれぞれ上昇していました。

これらのデータから、飲食店を根強く利用する客層は「大人数かつ単価の低い客層」から「少人数かつ単価の高い客層」へと変化したといえます。

記念日、デート、家族会食などで飲食店を利用する客層は家族や恋人などの少人数であることが多いため、これらの客層に注目することで客単価の高い店舗経営へと繋がることが期待できます。

3. 「常連客」獲得で安定した収入を

テーブルチェックでは、来店回数が5回以上の顧客を常連客として定義し、それぞれの来店回数を調査しました。

前年同月比来店件数に占める常連比率をグラフ化
▲前年同月比 来店件数に占める常連比率:テーブルチェック調べ

その結果、2020年4月の緊急事態宣言発令後、来店客数に占める常連客の割合が前年同期と比べて4月は2.6倍、5月は2.0倍にそれぞれ増加していたことがわかりました。

次に、緊急事態宣言の解除以降の1店舗当たりの来店客数に占める常連客と新規客の割合を見てみます。

常連区分別前年同月比1店舗当たりの来店件数比較をグラフ化
▲常連区分別 前年同月比 1店舗当たりの来店件数比較:テーブルチェック調べ

緊急事態宣言の解除後、1店舗当たりの来店客数に占める新規客の割合は2020年6月で前年同月比44.5%、同7月は61.5%となっていますが、常連客は2020年6月で前年同月比73.0%、同7月は85.8%と、早い段階で常連客の客足が回復していることがわかります。

テーブルチェックでは、元々常連客の比率が高かった飲食店は新型コロナウイルスの打撃を受けた後の回復も早く、先の日付まで予約で埋まっている飲食店すら見受けられると発表しています。

常連客は外食が控えられるようになっても店を支持するために継続して来店してくれるため、安定した収入源となる期待ができます。

近頃は飲食店の常連客が飲食店を助けるためにクラウドファンディングを実施したという例もあるほど、常連客の中には飲食店の存続を真摯に考えている人もいます。

未だ新型コロナウイルスの流行の収束が見えない中で飲食店を続けるには、一人でも多くの顧客に店を好きになってもらい、常連客となってもらえるような店作りが重要となるでしょう。

ウィズコロナの2021年、飲食店にできる3つの対策とは

ここまで、2021年の飲食店が押さえておきたい3つのキーワードとしてハレの日」「少人数」「常連客」を紹介しました。

それでは、実際にこれらの需要に応えるにはどのような対策が効果的なのでしょうか。ここからは、需要を掴むために実行すべき3つの対策について詳しく解説します。

1. ブランディング:ハレの日に選ばれるブランド作り

ブランディングとは、事業に付加価値を加えることで事業の認知度を高める手法のことを指します。

事業の持つイメージやコンセプトを独自のブランドとして顧客と共有することで、他店との差別化や常連客の獲得、価格競争からの離脱が期待できます。

テーブルチェックの調査では、最新の外食市場では「ハレの日」かつ「少人数」の客層が多くを占めていることがわかりました。

この客層を自店の顧客として取り込むには、ハレの日の外食先として選ばれ、少人数での来店が容易となる店作りが重要です。

具体的には、レストランであればハレの日の少人数での会食に適したコースメニューの用意や家族での会食に適したお子様メニューの用意、居酒屋であれば記念日の会食やデートに適した個室席の用意などが考えられます。

ハレの日」と「少人数」の客層にとって魅力的なブランドを整えるだけでなく、これらの客層にブランドの魅力を届けることで初めてブランディングは完成します

そのためには積極的な情報発信が必要となりますが、情報発信のコツについては次で解説します。

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2. 情報発信力の強化:各種プラットフォームの情報一致を心がけよう

どんなに魅力的な店舗を作っても、店舗の存在が広く知られない限りは新規顧客の増加には繋がりません。

特に昨今は目的意識を持って外出する人々が増えていることから、たまたま店の前を通りがかった人がふらっと来店する確率も激減したと予想されています。

そのため、これからの飲食店が成長を続けるには、対象とする客層に情報を発信する力が求められます。

情報発信の手段としてはSNSの活用が効果的ですが、最低でもGoogle マイビジネスや各種グルメサイトには登録しておくべきだといえます。

特にGoogle マイビジネスは無料で利用でき、Google マップ上に自店の情報を詳しく掲載できるほか、キャンペーンや割引情報なども発信できます。

そのため金銭的なコストを費やす必要もなく、ブランディングや集客において特に高い効果を発揮します。

また、Google マイビジネスや各種グルメサイト店舗情報を掲載する際は、それぞれに掲載されている情報を一致させることが重要です。

プラットフォームごとに掲載されている情報が異なると消費者の混乱を招くほか、不信感から来店へと繋がらないことも考えられます。

特に店舗NAP情報(名前:Name、住所:Adress、電話番号:Phone)、営業時間は必ず正しく掲載されていることを確認しましょう。

また、メニューの種類や価格、営業時間などを改定した際にはいち早く反映させるほか、キャンペーンや割引などの情報も早めに全てのプラットフォームで掲載するとよいでしょう。

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3. 常連客の獲得:顧客に伝わる温かい心配りを

テーブルチェックの調査では、常連客の多い飲食店ほど緊急事態宣言後の回復も早かったとしています。

常連客は店舗の安定した収入源となるほか、新規顧客を連れてきてくれたりSNSなどで宣伝してくれるなど、ゼロコストでの集客に繋がることも期待できます。

常連客を獲得するには、やはり先述したブランディングの徹底が勝負を分けるといえます。

このほかにも、たとえば雨の日であれば「雨の中ありがとうございます」など顧客を気遣う一声を掛けることで、人情味のある店であることを示せます。

また、何度か来店してくれている「常連予備軍」の顧客には「いつもありがとうございます」のように以前の来店を覚えていることをそれとなく伝えたり、複数回来店してくれたお礼として小皿料理やお土産などのちょっとしたサービスを提供することで、顧客との前向きな関係が築けるでしょう。

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2021年の飲食店は「ハレの日、少人数、常連」で成長する

テーブルチェックの調査では、新型コロナウイルスの流行以降、世間の外食需要は「ハレの日」と「少人数」が多くの割合を占める形に変わっていったことが明らかになりました。

また、緊急事態宣言後の飲食店は常連客の来店が目立ち、常連客の多い飲食店ほど回復が早かったこともわかりました。

外出や外食が下火となり、目的意識を持って外出する人が増えた2021年も、これらの傾向は持続するものとテーブルチェックは予測しています。

そのため、2021年に飲食店が成長を遂げるにはハレの日、少人数、常連」を対象とした店作りが重要となります。

ここまで紹介した対策手段を上手く活用すれば、ウィズコロナの世界でも安定した成長が期待できるでしょう。

参照資料

PR TIMES:2021年狙うべきキーワードは「ハレの日」需要。変容するライフスタイル、プライベート利用増|2021年飲食業界動向予測

TableCheck:【週次更新】コロナ禍における飲食店の来店・予約件数推移

日本フードサービス協会:JF外食産業市場動向調査

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    口コミラボ編集部

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