感応度逓減性とは?人が感じる喜びやがっかりの大きさを解説・プロスペクト理論の「参照点依存性」「損失回避性」

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行動経済学において、利益や損失に関わる意思決定のメカニズムをモデル化した「プロスペクト理論」があります。

プロスペクト理論では、人が利益や損失をどのようにとらえているかをグラフ(価値観数)で示されます。このグラフには、参照点依存性と損失回避性、そして感応度逓減性という3つの特徴が落とし込まれています。

3つ目の特徴である感応度逓減性は、利益・損失の値が大きくなるにつれ、小さな変化に対する感応度が減少する心理状態を指しています。

感応度逓減性とは何か具体例と活用例を織り交ぜながら解説するとともに、プロスペクト理論について、また参照点依存性と損失回避性についても紹介します。

感応度逓減性とは

感応度逓減性は、利益または損失の絶対値が大きくなるにつれ、変化への感覚がにぶるという心理の特徴を指しています。

たとえば、同じ1万円の損失であっても、10万円が9万円になる方が、100万円が99万円になるよりも苦痛を大きく感じます。

行動経済学には、利益や損失に関わる意思決定のメカニズムをモデル化し、あるものに対する主観的な価値を示した価値関数でその特徴を捉える代表的な理論「プロスペクト理論」というものがあります。感応度逓減性は、参照点依存性と損失回避性とともにプロスペクト理論を形成する3つの概念のうちの1つです。

感応度逓減性がどういうものかがわかる実験と例を紹介します。

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感応度逓減性の例:同じ5万円の増減でも…

5万円もらえる予定であった賞与が10万円になったという場合、30万円だったものが35万円になる場合を比べると、同じ5万円の上昇であるにもかかわらず前者のほうがより得をしたように感じられます。

これは、人には感応度逓減性が備わっているからです。前者の得の絶対値は10万であり、後者は35万です。より大きな値である後者の方が、感情の動きは小さくなります。

反対に、10万円が5万円に減らされてしまった場合も、35万円が30万円になるよりもつらさを感じます。

感応度逓減性のマーケティングでの活用例

マーケティングにおける応度逓減性が価格設定に活用できる例があります。

たとえば、Aショップで3万円で売られている掃除機が、15分ほど離れた1駅隣のBショップで2万4,000円で販売されていたとします。この場合、Bショップに行く人が多くなることは容易に想像できます。

しかし、Aショップで30万円の洗濯機がBショップで29万9,700円で販売されていた場合、わざわざ距離の離れたBショップに赴く人は極めて少なくなります。

消費者は価格の大きな商品においては、それよりも小さな価格の商品と比べて、金額の違いに頓着しないということがわかります。

この例は、感応度逓減性が持つ「大きな金額を扱う際は、損得に対する感覚が鈍くなる」という性質を物語っているうえ、消費者心理を上手に活用した価格設定が参考になる内容といえるでしょう。

この心理に基づくと、立地において不利な店舗でも、高額商品の販売においては割引はあまり有効な販売促進にはならないということが考えられます。

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プロスペクト理論とは

行動経済学理論の1つであるプロスペクト理論は、経済学者であるプリンストン大学のダニエル・カーネマンとエイモス・トヴァスキーが1979年に提唱した学説で、2002年にノーベル賞を受賞しました。

プロスペクト理論とは、選択の結果得られる利益や損失を人がどのようにとらえているかを表したものです。

人が自分の選択の結果を評価するのに用いるのは客観的な価値ではありません。複数の要素が影響し、主観的な価値で結果を評価しています。

この主観的な価値を説明するために、プロスペクト理論では感応逓減性のほか、「参照点依存性」と「損失回避性」という概念が用いられています。

最後に、プロペクト理論の残りの2つの概念である参照点依存性と損失回避性について、具体例を交えながら解説します。

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参照点依存性:人は値段ではなく変化の大きさで判断する

参照点依存性は、プロスペクト理論の1つ目の特徴です。

この参照点依存性は、人が損得を判断する際の主観的な価値が、絶対的な水準ではなく、参照点からの変化の大きさによって価値を決めるというものです。

参照点依存性を学校の成績を例に考えてみます。

ある生徒は、S~Dの5段階評価の最高評価であるS評価を目標に勉強に励んでいましたが、成績はA評価でした(S評価が参照点)。

この生徒がA評価を獲得した際の主観的な喜びは、C評価を期待していた生徒がA評価を獲得した際の主観的な喜びよりも小さいという状況が考えられます。)

この例では、成績評価の絶対的な価値ではなく、生徒が思い描いていた参照点との違いによって、主観的な感じ方が異なったという状況を意味しています。

損失回避性:人は利益よりも損失を気にする

損失回避性は、プロスペクト理論における2つ目の特徴です。損失回避性とは、損失をより大きく重みづけする性質のことです。

人が何かを得たときに感じる主観的な価値(喜び)の大きさと、同じものを失ったときに感じる主観的な価値(悲しみ)の大きさを比較すると、後者が大きいことが背景にあります。

たとえば100万円を得る可能性と失う可能性が同じだけの確率である賭けがあれば、ほとんどの人は参加しないでしょう。これは、100万円を得ることによる価値(喜び)よりも、失うことの方が重大な価値(悲しみ)に感じられているからです。

同じ100万円という価値に対して、主観的な価値である、得ることによる喜びと失うことによる悲しみを比べると、後者が大きいからです。

悲しみを避けるため、損失を回避したいという心理が働いています。

価格設定にも活かせる感応度逓減性

プロスペクト理論は、参照点依存性、損失回避性、感応度逓減性の3つの要素から人の心理を分析、説明したものです。

ビジネスにおいても活用されている理論であり、自社の商品サービスを「使わなければ損」というアピールや「期間限定」「数量限定」といった施策もプロスペクト理論に当てはまります。

3つの要素の中でも、利得や損失の絶対値が大きくなるほどその感覚が鈍ってくる性質をもつ感応度逓減性は、商品サービスの金額設定に利用できます。

商品販売の成功例やヒット商品には、こうした人間の心理を基盤にした戦略が用いられていることもあります。理論をベースにトレンドを解釈すれば、これまで見えてこなかった売れる仕組みが見えてくるかもしれません。

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