認知的不協和とは?つじつまを合わせようとする心理現象・マーケティングへの活用事例も解説

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脳科学の研究が進んでいる現代社会においても、人間の複雑な心理状態に関しては未知な部分が数多く残されています。

たとえば有名な心理現象の1つに「正常性バイアス(normalcy bias)」があります。

これは災害など予期しない事態に対峙したときに、「ありえない」という先入観や偏見(バイアス)が働いて合理的な判断が下せなくなり「自分だけは、この場所だけは大丈夫」といった誤った判断をする現象を意味しています。これにより、助かるはずの命を落とすこともあるような危険な側面を持つ心理です。

これと同様の人間の心理状態の1つに、「認知的不協和」があります。今回は認知的不協和やそれにより引き起こされる現象について解説し、その心理をマーケティングの中で活用する方法について紹介します。

認知的不協和理論とは?2つの代表例

認知的不協和とは正常性バイアスと同様の社会心理学用語の1つで、自分の考えや正論と矛盾する事実を目の前にした時に不快感を覚える心理状態のことを指します。

この心理状態を解消するため、行動を考えや正論に合わせるのではなく、考えを変更し、行動を正当化する現象を認知的不協和理論といいます。

認知的不協和理論を説明するためによく用いられる、2つの事例を紹介します。

自分の「考え」と「行動」が矛盾、行動を「正当化」する現象 

認知的不協和理論は、アメリカの心理学者・レオン・フェスティンガーによって提唱された理論です。

正論はわかっているが、それに基づく行動がとれない状態に陥ると、現状の行動を肯定するような考えを持ち、行動を正当化します。

たとえば、糖質を摂取すれば太ると理解しつつも、おにぎりが大好きで食べるのをやめられない場合、正論としては、おにぎりを食べるのを我慢することで考えと行動の統一を図るべきです。

ところが、おにぎりを食べることを辞められない場合「糖質の過度摂取は太る」という正しい認識を拒否し、「糖質制限はやりすぎると健康被害が出るから、適度に摂取した方がいい」といったような、自身の行動を正当化できる思考を持つようになります。

これは、自己の中で矛盾する2つの認知を解消するため、正論の方を否定する形で不快感の解決を図る、人間の自然な心理状態です。

例1. タバコをやめられない例

認知的不協和理論の説明によく使われる具体例として「喫煙者の不協和」があります。

自らは喫煙者でありながら「タバコは体に悪い」と認知していた場合、その人は「タバコは体にとって害である」「自分は喫煙者である」という2つの相反する認知を抱え込むことになり、そこに認知の不協和が生まれます。

この不協和とは、言い換えれば「自己矛盾」です。そこでこの内なる自己矛盾を解消するために、禁煙することで「自分は喫煙者である」と認知を変える方法が、本来的には正しい方法です。

ところが禁煙は難しいため、今度は「私の父も喫煙者だったか90歳まで息災だった。私はタバコの健康被害を受けにくい体質だ」と、タバコは害であるという認知の方を変化させることで認知の不協和を解消しようとする場合があります。これが喫煙者の不協和といわれる現象です。

例2. イソップ物語の「狐とぶどう」

イソップ物語の中で、「負け惜しみ根性」を表す作品に「狐とぶどう」という物語があります。

ある日森の中を腹を空かせて歩いていたキツネは、美味しそうに実ったブドウを見つけます。ところがブドウは木の高い枝に実っているため、キツネが何度飛び上がってもとることができません。

ブドウが取れないとわかったキツネは、「あのぶどうは酸っぱくて食べられたにに違いない」と決めつけ、その場を立ち去ってしまいます。

この場合、キツネの中には「ブドウを食べたい」「自分にはブドウを取ることができない」という2つの相反する認知が生じます。そこでこの認知の矛盾を解消するために、キツネは「あのブドウは、酸っぱくて食べられないのだ」「だからそもそも取る必要がないのだ」と考えることで認知の不協和を解消しています。

認知的不協和で取る行動

人間が認知的不協和状態に陥った時にとる行動は次の2つに分かれることがわかります。

  • 古い認知を肯定する
  • 新しい認知を肯定し、古い認知を否定する

認知的不協和自体は、その心理状態そのものが問題というわけではありません。

問題となるのは、認知的不協和の状態となった時に、その状態を解消する方法として理論的に正しい認知に合わせた行動をとるのではなく、理論的にみた場合に正しくない認知に合わせて行動してしまう場合です。

なぜ誤った認知に引きずられてしまうのか

どうして正しくない認知に引きずられてしまうのかについては、認知的不協和同様、人間が持つ心理が影響しています。

認知的不協和の解消に際し、誤った方向に導きやすい心理には、次のようなものがあります。

  • 確認バイアス:自分の下した判断やとった行動を正当化する情報ばかりを集める心理的傾向
  • 反確認バイアス:自分の下した判断やとった行動にとって好ましくない情報を無視する心理的傾向
  • 合同バイアス:自分の下した判断やとった行動に対する反証となる意見については、検討すらしない心理的傾向
  • 現状維持バイアス:慣れ親しんだ状態や行動パターンを好み、違った考えをもったり、新しい行動をとることに抵抗感を示す心理的傾向
  • バンドワゴン効果:「赤信号、みんなで渡れば怖くない」のように、周囲の意見にいつの間にか同調してしまう心理的傾向

こうした心理が働くと、自分の行為に対してなかなか修正がきかなくなってしまいます。さらにこれは個人レベルだけで起きる問題ではなく、集団心理となる場合もあります。

認知的不協和をマーケティングに活かすには

日常生活の中で起こりがちな認知的不協和の中でも紹介しましたが、認知的不協和は誰にでも起こる人間にとって不変的な心理の一種であるため、それを逆手にとってマーケティングに活かしている事例はすでに数多くあります。

そこで認知的不協和をマーケティングに活かすためのポイントについて、具体的に解説します。

商品が必要な理由で、認知的不協和を解消

認知的不協和を抱えながら購入をためらっている消費者に対しては、「この商品にはこうした効果があります。だからあなたにピッタリな商品なのです」といったように、具体的に「その商品が必要な理由」を提示すれば、商品を買いたいという心理を正当化することになり、購入を後押しできます。

その商品を購入する理由を得て、認知的不協和を解消できることが理由です。

たとえば「普段あなたはがんばっている。だからお金を払って贅沢をする権利がある」「ダイエットにもチートデイ(食べても良い日)が必要」といったメッセージを広告に忍ばせておくことで、予算よりも高額な商品の予約や、ダイエット中の消費者の消費を正当化してあげることになります。

購入は正しかったと思わせる

認知的不協和の厄介なところは、迷った末に商品を購入する決断をすればそれで不協和が解消できるわけではない点です。商品を購入する前の迷いが強ければ強いほど、購入後も無駄にチラシなどを見て「こちらの方が安くて性能が良かったのではないか」などと、解決しようのない不快感に苛まれることもあります。

そこで商品を購入してくれた人に対して次回購入時に利用できる割引クーポンなどを発行してアフターサービスを行うことが効果的です。

「もしかして他店の方が安かったかもしれないが、気持ちのいい接客でこの店を選んで良かった」という心理が発生し、消費者の認知的不協和を解消することで、その後「お得意様」になってくれる可能性につながります。

ターゲットが悩む「矛盾」にフォーカスしたキャッチコピーをつける

認知的不協和をマーケティング戦略の一環として活用するために最も効果的な方法の1つが、キャッチコピーの中に消費者の認知的不協和を解消するフレーズを織り込む方法です。

1999年に出版され大きな反響を呼んだダイエット関連の書籍のタイトルに、「痩せたい人は食べなさい」というものがありました。これなどはまさに「痩せたい、でも食べたい!」という典型的な認知的不協和を突いてマーケティング戦略に活かした好例といえます。

認知的不協和の心理は消費者の購入促進のヒント

データに基づいてマーケティング戦略を立てることは非常に重要ですが、人間には数値だけでは測ることができない複雑な心理があり、そうした心理に行動が左右されることが少なからずあります。

認知的不協和は、そうした人間の心理の1つです。これをマーケティングに活かすためには、消費者の理想と行動の矛盾を取り入れ、それを解消できるように仕向ける必要があります。

「痩せたい。けど食べたい。」という矛盾を取り入れ、「食べながら痩せられる方法がありますよ」とアピールすれば、認知的不協和を解消するための具体案を提示された人々は、そのアピールに飛び付きたくなります。

こうした矛盾はダイエットに限らず、あらゆる場面で常に生まれているため、その矛盾を解決するための商品サービスを開発して提供すれば、ビジネスを成功に導く足がかりになります。

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