英KFC、コロナ影響で長年の宣伝文句「指を舐めるほど美味しい」を封印:海外のコロナ関連広告事例まとめ 中国・台湾・欧米編

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2020年は世界中で新型コロナウイルスが流行し、「おうちで過ごそう」の呼びかけややテレワークの普及など、人々の生活のあり方は大きく変わりました。

世界の広告業界はこの変化を機敏に受け止め、新型コロナウイルスを題材とした広告を打ち出しています。

今回は、中国、台湾、欧米における新型コロナウイルスに関連した広告に焦点を当て、各国における新型コロナウイルスの捉え方について解説します。

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2020年は世界中で新型コロナウイルスが流行し、感染対策として「おうちで過ごそう」が呼びかけられ、人との接触を避ける新しい生活様式が普及しました。

新しい生活様式の普及に伴いECサイトを利用するユーザーが増え、外食より宅配や持ち帰りが好まれるようになっています。

また、飲食店での非接触決済やオンライン冠婚葬祭など、非接触ソリューションの需要も拡大しました。

このように、各国で日常生活が一変するなか、各国の広告業界もこの変化を取り逃しませんでした

ここでは、中国、台湾、欧米における新型コロナウイルスの捉え方を如実に反映した広告例をいくつか紹介します。

中国のコロナ関連広告3選

中国では新型コロナウイルスが最初に流行し、大規模な都市封鎖の実施にも至りました。

中国における新型コロナウイルス対策は政府主導の下に大々的に実施され、国民一人ひとりの協力が呼びかけられました。

そのため、中国の新型コロナウイルスを題材とした広告は社会に協力を呼びかけるものや、愛国心に訴えるものが多く見受けられます。

1. Ele.me:家にいること、それが貢献

▲[Ele.meの広告]:ADQuanより
▲[Ele.meの広告]:ADQuanより

大手フードデリバリーサービス「Ele.me(餓了麼)」の広告には「食べる、飲む、遊ぶ、楽しむ、全てを家で。家にいること、それが貢献。」と書かれています。

Ele.meは、Meituan Waimai(美団外売)に次ぎ中国第2位の市場規模を抱えるフードデリバリーサービスです。

中国では、新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)が実施されたことから、フードデリバリーサービスの存在感が急速に高まりました。

Ele.meではフードデリバリーサービスの需要拡大傾向をしっかりと掴み、社会の情勢に合致した広告を展開しています。

2. 中国鉄路:一緒に戦おう、我々がついている

▲[中国鉄路青蔵グループの広告]:NetEaseより
▲[中国鉄路青蔵グループの広告]:NetEaseより

鉄道機関「中国鉄路青蔵グループ」の広告には「一緒にウイルスと戦おう、我々は職務についている」と鉄道職員の業務が強調されています。

更に「西寧車輌区の車庫では、鉄道感染症対策員が1輌ずつ全ての旅客列車に対し、消毒作業を実施しています。」と、感染対策の徹底についても言及しています。

加えて「もうすぐ元宵節(中国の節句)ですが、感染症対策は更に重要になります。春になれば必ず花が咲くように、感染症の流行は必ず終わりを迎えるでしょう。」と、鉄道利用者に対し力強いメッセージを伝えていることが特徴的です。

3. 山東省感染症対策公共広告機構:私たちは変わらず職務を守っています

▲[山東省感染症対策公共広告機構の広告]:SOHU.comより
▲[山東省感染症対策公共広告機構の広告]:SOHU.comより

山東省感染症対策公共広告機構の広告には「私たちは変わらず職務を守っています、私たちは○○です」と題し、さまざまな職業の人々が新型コロナウイルスの流行下でも職務を全うする様子を載せています。

左上から右下へ湖北省支援医療隊員、医療関係者、警察関係者、交通警察、地区管理員、地区保安員を取り上げています。

これらの広告では国民を守るために職員たちが尽力していることを強調しており、国民に安心感を伝えようとしています

台湾のコロナ関連広告3選

台湾では、4月以来新型コロナウイルスの国内感染者が確認されておらず、事実上の封じ込めに成功しています。

そのため、台湾の新型コロナウイルスに関連する広告には台湾国内の安全性や台湾の新型コロナウイルス対策の完璧さを強調したものが多く見受けられます。

1. ezTravel:海外旅行が水の泡なら、国内旅行で水の泡を楽しもう

▲[出國泡湯了,國旅泡湯補回來]:ezTravelより
▲[出國泡湯了,國旅泡湯補回來]:ezTravelより

大手OTA「易遊網(ezTravel)」の広告には「海外旅行が水の泡なら、国内旅行で水の泡(温泉)を楽しもう」という文言が記されています。

中国語で「泡湯」には「計画が倒れる」と「温泉に浸かる」の2つの意味があるため、日本への温泉旅行を計画していたユーザーに向けて、国内の温泉旅行を提案しています。

台湾人は旅行好きな国民性が知られており、2019年には489万人の台湾人旅行者が日本を訪れました。

海外旅行に行けなくなった現在では国内旅行の需要が高まっておりOTA各社も国内旅行のプロモーションに取り組んでいます。

2. Taiwan Can Help:WHO can help? Taiwan.

WHO can help? Taiwan.
▲WHO can help? Taiwan.:Twitterより、口コミラボ編集部スクリーンショット

Twitter:濱田英明さん@HamadaHideaki による投稿

台湾の有志組織「Taiwan Can Help」がアメリカの新聞に出稿した広告には、上部に「WHO can help?(誰が助ける?)」、下部に「Taiwan.(台湾。)」と記されています。

「WHO」は英語で「誰」を意味する「Who」と、「世界保健機関」を意味する「WHO」を掛け合わせています。

そのため、広告中の「WHO can help?」という文は「誰が助ける?」と「世界保健機関が助ける?」の2つの意味を持つようになっています。

この広告では、世界保健機関のテドロス事務局長が台湾に対し敵対的な発言をしていることや、パンデミックへの対応を誤っていると言われていることをふまえ、世界保健機関ではなく台湾が世界を助けられるというメッセージを皮肉を交えて伝えています。

3. 台北市広告公会:Together Stronger

台北市広告公会
▲[台北市広告公会]:Facebookより 口コミラボ編集部スクリーンショット

Facebook:台北市広告公会による投稿

台湾の広告協会「台北市広告公会」は、2020年4月30日にFacebookで広告動画を投稿しました。

映像では、過去に放映された広告から人と人が会話したり、触れ合ったり、抱きしめ合うシーンを集め、最後に「私たちはまた会える」と締めくくっています。

投稿には、映像の説明として「広告は生活の延長線上にあり、文化の累積であり、価値の伝達であり、経済の担い手です。この『広告で作られた広告』が、人々に感動を与え、気持ちを慰め、『我々は必ずこの戦いに勝ち、暖かい手のひらで握手を交わし、お互いの愛と体温でもう一度抱きしめ合おう』と思わせるものであることを願います。」と記されています。

感動的な映像作品を通して、新型コロナウイルス対策に成功した台湾人の自尊心を鼓舞するものとなっていることが特徴的です。

欧米のコロナ関連広告3選

欧米諸国では、2020年10月現在でも新型コロナウイルスの拡大に歯止めがかからない状況が続いています。

アメリカでは毎日数万人の新規感染者が確認されており、フランスでは感染拡大防止のためパリなど9都市に夜間外出禁止令を発令しました。

欧米では深刻な状況が続いていますが、新型コロナウイルスに関連した広告は明るいものが多く、笑いや冗談を通して新型コロナウイルス感染対策を求めるものが多く見受けられます。

1. ケンタッキーフライドチキン:Ignore it, for now.

▲[ケンタッキーフライドチキン]:公式サイトより
▲[ケンタッキーフライドチキン]:公式サイトより

ファストフードチェーンケンタッキーフライドチキンでは「It’s finger lickin’ good.」というキャッチフレーズを使っています。これは直訳で「指を舐めたくなるほど美味しい」、つまり「非常に美味しい」ことを意味する口語で、ケンタッキーではこのキャッチフレーズを64年間使い続けています。

しかし、イギリスのケンタッキーフライドチキンでは、新型コロナウイルスの流行下において指を舐める行為が衛生的によくないことを強調するため、「finger lickin’(指を舐めたくなるほど)」の部分にモザイクをかけ、「It’s good.(美味しい)」とだけ読めるようにした広告展開しています。

新型コロナウイルスの感染対策を呼びかけつつ、遊び心も取り入れた広告となっています。

2. Hotels.com:Stay Home

Hotels.com Stay Home
▲[Hotels.comの動画「Stay Home」]:YouTubeより 口コミラボ編集部スクリーンショット

YouTube:Hotels.comによる投稿

大手OTA「Hotels.com」では「キャプテン・オブビアスはしばらく社会的距離を守ります。あなたも守ってください。」と称し、家にいることを呼びかける広告映像を配信しています。

「キャプテン・オブビアス」はHotels.comの公式キャラクターで、これまでは公式サイトやTwitterなどのSNSを通して旅行の楽しさを伝えていました。

OTA企業であるにもかかわらず、旅行を控え家にいることを呼びかけることは異例であったため、YouTubeの動画が5万回以上再生されるなど大きな注目を集めました。

3. Vodafone:Together

Vodafone Together
▲[Vodafoneの動画「Together」]:YouTubeより 口コミラボ編集部スクリーンショット

YouTube:Vodafoneによる投稿

大手通信企業「Vodafone」は、ビデオ通話を通して他人と一緒に何かを成し遂げる様子を集めた広告映像を配信しています。

広告では勉強や運動、ロックバンドの演奏、料理など、さまざまな活動を画面越しに一緒に行う様子が集められました。

映像には人々の明るい笑顔が映し出されており、新型コロナウイルスの流行中もビデオ通話を活用すれば今まで通り他人と一緒に物事を楽しめることを強調しています。

広告は各国のコロナの捉え方を反映している

今回は、中国、台湾、欧米における新型コロナウイルス関連の広告を紹介しました。

広告からは、それぞれの国や地域における新型コロナの捉え方が如実に読み取れます。

中国の広告には、国への貢献や国民の努力など、愛国心に訴えかけるものが多く見受けられました。

台湾の広告には、台湾の新型コロナウイルス対策の素晴らしさを強調したり、国内旅行を後押ししたりするものが多く見受けられました。

また欧米諸国の広告には、少し笑えるものや明るい気持ちになるものなど、ユーモアを交えて新型コロナウイルス対策を呼びかける広告が多く見受けられました。

海外に事業を展開する際には、ターゲットとする国や地域における新型コロナウイルスの感染状況や捉え方を把握することが、各国の消費者に魅力的なコンテンツ作りに役立ちます。

参照

ADQuan:疫情之下,饿了么社会化营销“暖心”又“暖胃”!

NetEase:海报组图:青藏铁路职工的元宵节

SOHU.com:“众志成城 共克时艰”山东抗击疫情公益广告展播:我们依然坚守

ezTravel:2020泡湯了,台灣溫泉季

AdGang:指は舐めちゃダメ。英・ケンタッキーがキャッチコピーの一部に自主モザイク

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