SNSでまん延 肥満や薄毛あおる「コンプレックス広告」に「不愉快」の声:ヤフー、Googleで禁止の方向へ

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ヤフージャパンはこのほど、身体的コンプレックスを露骨に表現し、不安にさせる広告(以下、コンプレックス広告)の規制を厳格化することを明らかにしました。

NHKでも「その広告 行き過ぎていませんか?」として、コンプレックス広告について問題提起する記事を公開し、ツイッター上などで反響をあつめています。

また、コンプレックス広告の”温床”となっていたYouTubeでも、そもそも快適な動画の視聴を阻害するような広告形式をやめようという動きが見られ、今後の動向に注目が集まります。

美容系ビジネスや健康系ビジネスと広告のあり方については、薬機法などの観点から度々話題となりますが、今回は「モラル」の観点から話題となっているようです。

過剰に身体的コンプレックスを煽る「コンプレックス広告」に批判の声

今月2日、NHKは「WEB特集 その広告 行き過ぎていませんか? 」としてコンプレックス広告に関する記事を公開しました。

コンプレックス広告
▲NHK、コンプレックス広告に関する記事を公開:Twitterより、口コミラボ編集部スクリーンショット

Twitter:NHKニュースによる投稿

この記事はツイッター上でも反響をあつめ、

(コンプレックス広告が)とにかくうざい

現在の広告は「不安と恐怖を抱かせてモノを売りつける」タイプばかりになった

(こういった広告は)肥満体を『人として劣っている状態』と決め付けていて人権意識が低い

といった声が見られます。

コンプレックス広告に対して91%が「不愉快」と回答

株式会社ネオレアが全国の学生を対象にSNS広告に関するアンケート調査を実施したところ、「SNS広告を見て、不愉快に感じたことはありますか?」という質問に対し、「不愉快である」「不愉快に感じたことがある」と、回答者1,300人中1,183人と91%もの学生が答えたといいます。

▲学生の91%がSNS広告で「不愉快」と感じた経験がある:株式会社ネオレアより
▲学生の91%がSNS広告で「不愉快」と感じた経験がある:株式会社ネオレアより

不愉快に感じる内容は「外見コンプレックスを刺激するもの」があげられており、

脱毛をしていない女性を「毛ダラケ娘」と表現したり、「脱毛をするのにお金がないからパパ活をする」

といった内容の広告も見られるといいます。

▲「ムダ毛は恋人に振られる」という広告を不愉快に感じる:株式会社ネオレアより
▲「ムダ毛は恋人に振られる」という広告を不愉快に感じる:株式会社ネオレアより

なぜコンプレックス広告が問題になっているのか 2つの背景

コンプレックス広告とは、肥満に対してダイエットを、薄毛に対して増毛を、体毛が濃い人に向けて脱毛をすすめ、これらの身体的コンプレックスを感じやすい特徴を過剰に煽り、関連するサプリメントなどの商品を販売することを意図する広告です。

YouTubeではマンガ形式で早口のアテレコ(音声入れ)がされているケースが多く、おおよそのストーリーは、

  1. 主人公が異性と恋愛関係になりそうになる
  2. その異性が身体的コンプレックスについて陰口をしているところにいあわせてしまう
  3. その後友人に進められたコンプレックスを解決すると見られる商品を使用する
  4. 当初の異性とうまくいったり、多数の異性と交際関係になったりする

といったもので、その身体的コンプレックスを”解決”しないと不幸になることを強調する内容になっています。

今回、このコンプレックス広告が問題となったのは、広告システムの都合やタイミングが背景にあると考えられます。

1. 「デリケートな性質」な広告はターゲティング禁止→逆に誰もが見られる状況に

例えばGoogleの広告においては、人のコンプレックスや生まれ持った性質を「デリケートな性質」としています。

こういった「デリケートな性質」をもったユーザーに対してコンプレックス広告を「パーソナライズド広告」(検索履歴や訪問ページからユーザーの性質を特定し、マッチする広告を配信すること)として配信することは「マイナス思考の強制」にあたり、配信が停止されます。

そのため、コンプレックス広告の配信サイドとしては全ユーザーに対して配信することになり、したがって多くの人の目に触れ、不快に感じる人が増えた、という結果になりました。

2. コロナ禍で「まっとうな広告」の出稿予算が減ってしまった

ツイッター上でも「緊急事態宣言ごろから増えた」との声があるように、コンプレックス広告の表示頻度の増加と新型コロナウイルスの感染拡大のタイミングが一致するとの声が多いようです。

YouTubeの広告配信「表示(広告動画の再生)1回につきいくら」という形式で、事前の入札価格が高い広告の配信頻度が増える、というシステムとなっています。

入札価格は1円未満でスタートできることもあり、配信のハードルが低いことから、駆け出しのサプリ販売業者でも参入しやすいです。ここに、コロナ禍で広告を取り下げる企業が増えたことから、入札競争がゆるくなり、入札単価の低い広告でも表示されやすい、という状況ができました。

業界で規制の方向に:ヤフーでは9月3日から基準厳格化

このような情勢をうけてか、ヤフーは8月27日、コンプレックス広告の基準厳格化を通達しました。

従来、Yahoo!JAPAN広告では「コンプレックス部分を露骨に表現した」出稿を禁止していますが、最近そのような広告が複数みられたとして、9月3日から厳格化するとのことです。

ヤフーによれば以下のような広告を「一部の身体的特徴をコンプレックスであるとして表現することは、差別意識を温存、助長するものであり、決して許さるべきものではない」として、基準に違反する広告の掲載を取りやめるとしています。

  • 体毛が濃いため異性にもてなかったが、除毛製品を使用することでもてるようになった
  • ふくよかな体型であることによって、周囲の人から一緒に歩くことを避けられた体験からダイエット商品を利用したところ、そのようなことがなくなった
  • 薄毛であることだけで、他人の目が気になり自信を持てなかったが、育毛製品を利用することによって自信を持てるようになった

Googleは「動画の途中に差し込まれる広告」をブロックする見通し

Googleは今年2月5日(現地時間)、Googleが提供するインターネットブラウザ「Google Chrome」で3種類の動画広告を8月5日からブロックすると予告しています。

3種類の動画とは、Better Ads Standards(ユーザーが特に不快に感じると業界で特定された広告に関する問題を集めたもの)に違反している広告で、具体的には

  1. プレロール広告
  • 本編の前に31秒以上表示されたり、5秒以内にスキップできない広告
  • ミッドロール広告
    • 動画の途中に表示される広告
  • 動画上に表示される広告
    • 再生中の動画中央の3分の1を占めるまたは、動画の20%以上を覆う画像およびテキストの広告

    となります。このブロックはGoogle傘下のYouTubeでの広告も対象となる見通しとなり、動画コンテンツと広告の関係性が大きく変わる可能性があります。


    広告は常にモラルとのバランスが求められる

    冒頭で紹介したとおり、NHKが問題提起したことで「コンプレックス広告」や、ひいてはWEB広告全体を取り巻く環境が大きく変化する可能性があります。

    薬機法や景表法など、広告を取り巻く法律は多くあります。これらを遵守することは当然のことながら、そもそも「モラルとしてどうなのか?」という視点から問題提起され、規制が厳しくなっている経緯があります。とすれば、これまでも、これからも重要なのは、そもそも広告先の消費者を不愉快にさせないというモラルなのではないでしょうか。

    <参考>

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      口コミラボ編集部

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