超少子高齢化やマンネリ化などが原因で多くの動物園が経営困難に陥り、人気の動物園とそうでない動物園との二極化が進んでいます。
この記事では、来園者数トップの動物園を3つ紹介し、人気の動物園が行っている工夫や集客方法を解説します。
来園者数の多い動物園トップ3
月刊レジャー産業が発表した2019年の動物園部門の年間来場者数ランキングによると、動物園部門の1位は東京都の恩賜上野動物園で496万人、2位が愛知県の名古屋市東山動植物園で254万人、3位が大阪府の天王寺動物園で167万人でした。
ここでは、このトップ3の動物園を紹介します。
東京都・東京都恩賜上野動物園
東京都にある上野動物園はかつての大正天皇陛下のご成婚を記念して下賜された土地に造成された、日本で初の由緒と歴史のある動物園です。
およそ350種類2,500点の動物を飼育する都市型動物園です。
上野動物園で目玉とされているのはジャイアントパンダです。
現在3頭のパンダが飼育されており、中国から来日したお母さんである「シンシン」と上野動物園で生まれた「シャンシャン」の親子は特に人気です。
今年は東京オリンピックの開催が予定されており、多くの外国人が訪れる可能性がある動物園として、インバウンド対策の実例としても注目されています。
愛知県・名古屋市東山動植物園
2位にランクインしたのは名古屋市千種区にある「東山動物園」です。
飼育している動物の種類は約500種を越え、飼育動物数は日本一です。
イケメンゴリラとして有名な「シャバーニ」は写真集が出版されるほど人気で、週末には家族ずれなど多くの人が一目見ようと集まります。
昨年開催された同園の「来場者による人気動物ベスト10」の投票では、46年ぶりに1位を奪還したそうです。
大阪府・天王寺動物園
天王寺動物園は1915年に開園した日本で3番目に歴史の長い動物園です。
2015年には100周年を迎え地下鉄で動物と触れあえるイベントなどが開催され好評を博しました。
2014年には近隣に「あべのハルカス」がオープンし、その影響からか入園者数が回復傾向にあるなど、波に乗っている動物園の一つです。
上野動物園と同じく都会に位置する都市型動物園でありながら、180種1,000点の動物が飼育されています。
動物園における集客のコツを解説
ここまで紹介したトップ動物園が集客に成功し、来園者数を伸ばしている共通の秘訣は、動物本来の姿をみせたり、来園者と動物の距離を縮める展示を積極的に導入していることです。
実際にトップ動物園ではどのような取り組みがなされているのかご紹介します。
動物本来の動きが分かる「行動展示」を導入する
行動展示は、その動物が本来生息している環境を疑似的に再現し、その動物が本来どのように行動して生活しているのかを来園者に見せるスタイルの展示方式です。
それぞれの動物が持っている身体能力や知能、美しさを前面に押し出し、それを直に来園者に見てもらうことで生物の多様性などの自然環境の尊さを伝えることができます。
今までの檻の中にいる動物をただ見るだけの動物園との差別化を図ることが可能です。
日本では北海道旭川市の旭山動物園がいち早く取り組み、話題となりました。
旭山動物園は他園と比較して珍しい動物などがいるわけではありませんが、この行動展示が起爆剤となり、入園者数の大幅増を達成しています。
ふれあい体験などのアクティビティを充実させる
東武動物公園などでは来園者が実際に動物と触れあえる施設があります。
実際に触れて体温を感じたり毛並みの質感を感じたり餌をあげるという体験ができます。
この様な体験は、動物が生きているという当たり前だけれども忘れてしまいそうな事実を、五感を通して来園者に伝えることが可能です。
檻の外から見ているだけでは伝わらない、視覚以外の感覚を通して来園者に訴求できるこの仕組みは大きな影響力を持っています。
この様な動物と親しめる環境をこども向けのアクティビティとして前面に押し出して宣伝する動物園も存在します。
動物をただ眺める以上に動物への愛着を来園者に持ってもらい満足感を上げることが期待されます。
更に多くの来園者を獲得するには?
動物園ならではの施策を通して、動物園自体の魅力を向上させ来園者増加につなげることも重要です。
ただ、それだけに固執せず、視野を広げて日本だけでなく世界を対象に宣伝していく姿勢がますます求められて生きます。
訪日外国人を視野に入れた外国語対応を
訪日外国人観光客が増加していく中で、動物園の集客を狙うターゲットとして、外国人を視野に入れることも1つの選択肢です。
来日した訪日外国人に対して、「日本の動物園」という選択肢を与えるためには、多言語対応などのインバウンド対策に取り組むことで集客できるでしょう。
上野動物園では外国人対応のできる案内所を設置し、中国語と英語で案内ができる職員を確保しています。
また、スマホアプリと連動した園内の音声ガイドも導入され、これも多言語対応しています。
マンパワーとテクノロジーの両面で上手く集客につなげることが肝要です。
口コミサイトで高評価を獲得しよう
観光客の多くはインターネットを利用し、口コミを見たうえで観光プランを練る傾向があります。
トリップアドバイザーなど観光客がよく参考にする口コミサイトで質の良い口コミを集め、高評価を獲得できれば、動物園という選択肢を訴求できます。
口コミを集めるために必要なことは、現在来園している来園者の満足度を高めることです。
前述した行動展示やふれあい体験ができるコーナーの設置、各種のサービス面で来園者に満足してもらえるように改善していくことが求められ、それが結果として口コミでの高評価につながります。
口コミをもらう方法については次の記事に詳しく書いてあるので合わせて読んでください。
[blogcard url="https://media.kutikomi.com/news/2020/02/21/kuthikomiupmethod/"]
デジタル化の促進
動物園の経営が困難になっている主な理由として
- 長少子高齢化社会
- 施設の老朽化
- マンネリ化
- デジタル化の遅延
などがあげれます。原因の一つである「デジタル化の遅延」を解消するため、KDDI株式会社と株式会社博報堂は2018年9月20日より「one zoo (ワン ズー)」の共同提供を開始しました。
one zooは、「one zooアプリ」を通じて動物園で撮影した動画コンテンツの配信やオリジナルの「園内マップ」「スタンプラリー」「音声ガイド」などを通して、動物を身近に感じてもらい動物園を好きになって実際に訪れてもらえるように工夫がされています。
アプリ料金の収益の一部が全国の動物園へ寄付され、動物の飼育や繁殖の研究、動物園の整備などに役立てられます。
2020年3月4日時点で提携している動物園は以下の通りです。
- 旭川市旭山動物園
- よこはま動物園ズーラシア
- 天王寺動物園
- 金沢動物園
- 野毛山動物園公式
- 福岡市動植物園
- のんほいパーク (豊橋総合動植物公園)
- 愛媛県立とべ動物園
one zooのように、できる範囲で動物園のデジタル化を促進し来園のきっかけを作る方法もあります。
他の動物園との差別化を意識して、更に多くのゲストを集めよう
行動展示や動物とのふれあいをテーマとしたアクティビティを導入することで、他の動物園と差別化を図ることは、動物園での集客力向上を考える上では欠かせない要素です。
さらなる集客を目指すのならば、集客の対象を日本人から訪日外国人まで裾野を広げていくことも今後は必要になっていきます。
他にも多言語対応や口コミサイトでの施策、デジタル化の促進など、来園者数増加を目指す1つの選択肢です。
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